セッション情報 |
ワークショップ5.
消化管癌の自然史を見直す
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タイトル |
W5-04 Retrospectiveな検討による胃癌の自然史とその特徴
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演者 |
中野利香(昭和大学附属豊洲病院) |
共同演者 |
長浜隆司(早期胃癌検診協会中央診療所), 松川正明(昭和大学附属豊洲病院) |
抄録 |
【はじめに】胃癌はその発育伸展が早い癌と遅い癌があるといわれるがその全貌は明らかになっておらず様々な理由によりretrospectiveやpro・spectiveに経過観察された少ない症例の検討により推定するしか方法がない.今回発見胃癌をretroSpectiveに追跡し胃癌の自然史とその特徴につき検討を行った.【対象と方法1当院および早期胃癌検診協会において過去にX線あるいは内視鏡検査でretrospectiveに追跡が可能であった57症例のうち初期変化を指摘できた41症例を対象にその形態変化発育進展自然史につき検討を行った.【結果】57症例の平均観察期間は4.1年置あった.41症例の深達度はm癌29例sm癌8例進行癌4例であった. m癌の平均観察期間は3.85年であり初期像からの形態変化はほとんど認められなかった.m癌の特徴は萎縮領域に発生し組織型は多くが分化型であったsm以深の癌では平均観察期間は3.2年であり萎縮領域6例胃底腺領域4例噴門部2例であった.進行癌4例のうち2例は噴門部癌で肉眼形態の認識ができず1例は胃底腺領域に存在し空気量不足のため病変を認識できずt1例は本人検査拒否のため進行癌となった症例であった.【まとめ】今回の検討より胃癌の自然史を類推するとm癌特に萎縮領域の分化型癌は深部浸潤傾向を示す前に粘膜面に変化が現れやすい癌で発見可能な期間が長く発育が遅いと考えられる.比較的短期間で進行癌に移行したものは過去の画像所見ですでにsm以深浸潤と思われ胃癌の発育速度を左右する最大の因子はsm層への浸潤であると考えられる.特に胃底腺領域や噴門部領域の癌ではsm以深浸潤をきたしても悪性所見に乏しく深部浸潤の所見がわかりにくいものが多いためm癌からの自然史の解明は難しいもののsm以深浸潤をきたしてからはほぼ1~2年で進行癌に発育すると考えられた. |
索引用語 |
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