抄録 |
【はじめに】大腸癌の発育進展経路にはadenoma-carcinoma sequenceとde-novo pathwayがあり我々はそれぞれをmountain routeと(lirect routeと提唱している.Hcをはじめとする陥凹型腫瘍はdirect routeであり生物学的に悪性度の高い腫瘍と報告してきた.【目的】大腸sm癌を肉眼形態別に分け病理組織学的側面から検討を行う.【対象と方法】1985年4月から2007年7月までに内視鏡的ないし外科的に切除された進行癌を除く29600病変(うち大腸sm癌655病変)を対象とした.さらに2001年4月からの大腸sm癌305病変(隆起型155病変平坦型78病変陥凹型72病変)においては詳細に病理組織における検討を行った.【成績】切除病変におけるsm癌率は22%であり肉眼形態別には陥凹型363%平坦型12%隆起型2.5%であった.さらに腫瘍径別では5mm以下のsm癌は隆起型はなく平坦型は0.03%であったのに対して陥凹型はsm癌率が8.6%と高い頻度を呈しまた20mmより大きい腫瘍群では陥凹型はsm癌率が95%以上であった.病理組織の検討では脈管侵襲陽性症例は隆起型で69/155(44.5%)平坦型で29/78(372%)陥凹型で53/72(73.6%)であり粘膜筋板破壊は隆起型で53/155(34.2%)平坦型で20/78(25.6%)陥凹型で46/72(63.9%)で認められた.発育形式(PG/NPG)は陥凹型21/51平坦型60/18隆起型149/6であった.粘膜内腺腫成分の残存は隆起型で80/155(51.6%)平坦型で29/78(37.2%)陥凹型で3/72(4.2%)であった.【結論】大腸陥凹型腫瘍はsm癌率が高くまた腫瘍径の小さいうちからsm浸潤する傾向が認められた.陥凹型腫瘍は他の形態と比して粘膜内の腺腫成分の残存みられない傾向があり脈管侵襲の頻度が高く粘膜筋板が破壊・消失傾向にあり発育進展において他の形態と異にする腫瘍群であることが示唆された. |