セッション情報 |
ワークショップ6.
Helicobacter感染症研究の進歩
|
タイトル |
W6-03 H.pylori除菌によるCpG island高メチル化の長期的経時変化および疾患間での相違についての検討
|
演者 |
山崎琢士(東京慈恵会医科大学内視鏡科) |
共同演者 |
貝瀬満(東京慈恵会医科大学内視鏡科), 田尻久雄(東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【背景・目的】胃発癌の一つの機序と考えられるCpG island高メチル化(CIHM)にH. pylori(HP)が強く関与し除菌によって癌抑制遺伝子のCIHMが改善することが報告されてきた.本研究では除菌後のCIHMの長期的経時変化(1ヶ月~5年)および疾患間での相違について検討した.【対象・方法】対象はHP陽性胃潰瘍(GU)(21例)・十二指腸潰蕩(DU)(22例)・胃癌(GCa)(24例)である除菌後5年目まで(除菌前・1ヶ月後・1年後・5年後)前向きに経過観察を施行した.これらの症例の中でGU8例・DU18例では除菌後5年目までのCIHMの評価が可能であった.方法としては非癌部胃体部粘膜の生検検体からDNAを抽出しメチル化判別のためのbisu田te処理を行った後にメチル化特異的PCRを行いDAP一一kinase(DAPK)E-cadherin(Ecad)のC田:Mを検討した.【結果】CIHM率を示す.1)胃癌ではDAPK:除菌前86%→1ヶ月後86%Ecad:除菌前100%→1ヶ月後100%と除菌早期ではCIHMは不変であった.2)消化性潰瘍(GU)ではDAPK:除菌前55%→1ヶ月後5%→1年後10%→5年後0%Ecad:除菌前50%→1ヶ月後0%→1年後10%→5年後0%であり除菌後早期にCIHMの脱メチル化が生じ5年後も脱メチル化状態が維持されていた.【結論】消化性潰瘍ではHP除菌によって早期にC正[Mが改善しtかつ脱メチル化状態が5年間維持されることからHPは強力なCIHM促進因子でありHP胃発癌の一つの機序と考えられる.一方胃癌症例では除菌後早期にはCIHMが改善しないことから胃癌ではHP以外のCIHM促進因子の存在CIHMの強度に相違があると推測され除菌後の胃発癌の原因となりうるものと考えられる |
索引用語 |
|