セッション情報 |
ワークショップ6.
Helicobacter感染症研究の進歩
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タイトル |
W6-04 除菌治療前後のH.pylori感染胃炎の変化-RUNX3の発言を中心に-
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演者 |
立花俊治(京都府立医科大学大学院消化器内科学) |
共同演者 |
小西英幸(京都府立医科大学大学院消化器内科学), 阪倉長平(京都府立医科大学大学院消化器外科学) |
抄録 |
【目的】H. pylori(HP)除菌治療により萎縮性胃炎と腸上皮化生が改善するとの知見が出てきたが胃癌予防効果については未だ意見が分かれている.tumor sup-pressor geneのhuman runt-related transcription factor gene(RUNX3)は大半の胃癌においてプロモーター領域のメチル化により発現が消失しているだけでなくt腸上皮化生部でも発現低下が認められ前癌病変の指標として注目されている.今回HP陽性症例を胃癌リスクで分けて除菌前後のRUNX3の発現変化を腸上皮化生や萎縮を含めた組織学的変化と比較・検討した.【方法】当院ならびに関連施設における消化性潰瘍慢性胃炎に対するHP除菌症例(低リスク群)に対し除菌前後の組織学的所見と免疫組織化学によるRUNX3蛋白(シンガポール国立癌生物学研究所 伊藤嘉明教授より供与)の発現を短期経過(1年未満)と長期経過(1年以上12年未満)に分けて比較・検討した次に早期胃癌の内視鏡的治療後にHP除菌療法を施行(高リスク群)し前後(短期経過)のRUNX3蛋白の発現とmethylation specific PCRを用いたメチル化の有無を低リスク群と比較・検討した【結果】低リスク群でRUNX3蛋白の発現は除菌後短期で回復するものは少なかったが長期では有意に回復した.除菌前後のCdx2蛋白の発現の変化はRUNX3の発現変化と明らかな相関がなかった胃潰瘍群と十二指腸潰瘍群の比較ではt明らかな相違を認めなかった.一方高リスク群における除菌後のRUNX3のメチル化は今回の観察期間では回復しないものが多く認められた.両者とも除菌前の萎縮および腸上皮化生の軽度なものほどRUNX3蛋白の発現が回復を示す傾向にあった.【結論】RUNX3の発現回復を指標とした検討からHP除菌と胃癌発生予防との関連が示唆されたがメチル化の回復には除菌後の時間経過など種々の因子の関与が推測された. |
索引用語 |
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