セッション情報 |
ワークショップ6.
Helicobacter感染症研究の進歩
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タイトル |
W6-06 糖尿病患者の病態においてHelicobacter pylori感染が及ぼす影響
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演者 |
石川剛(松下記念病院消化器科) |
共同演者 |
大西正芳(松下記念病院糖尿病・内分泌科), 小山田裕一(松下記念病院消化器科) |
抄録 |
【目的】胃に慢性の炎症を惹起するHelicob‘urter pylori(Hp)は動脈硬化との関連についての報告も多くなされているが一定の見解は得られていない.今回糖尿病患者においてHpの感染が動脈硬化およびインスリン抵抗性にどのように影響を及ぼしているのかを検討した.【方法】当院糖尿病外来にて通院加療を行っている患者で血清Hp-lgG抗体を測定している糖尿病患者132人(平均年齢63.4歳)を対象としたこのうちHp陽性者は70名陰性者は62名であった.動脈硬化の指標とされる脈波伝播速度(baPWV)により対象者をbaPWV正常群(N群)と異常群(A群)の2群に分け虚血間で年齢性Hp感染の有無糖尿病罹病期間高血圧の有無喫煙の有無インスリン使用の有無BMI腹囲HbAlc値総コレステロール値HDLコレステロール値中性脂肪値高感度CRPIを両前間で比較検討した.またHp陽性のインスリン非依存性2型糖尿病患者のうちその後除菌治療に成功した10名について除菌直前と2ヶ月後のインスリン抵抗性の変化をHomeostasis model assessment of insulin resistance(HOMA-IR)にて評価した【結果】A群はN群に比し年齢が高く(p<0.001)Hp感染者が多く(p<O.Ol)糖尿病罹病期間が長く(p<0.005)高血圧患者が多かった(p<0.001).多変量解析(年齢性別を補正)を行うと高血圧の存在(p〈0.050dds ratio 2.7695%C.L l.15-6.62)とRp感染(p<0.050dds ratio2.8195%CJL 1.23-6.41)が動脈硬化の指標であるbaPWV値の異常に関連する独立した危険因子であった.インスリン抵抗性の検討ではHp除菌の前後においてHOMA-IRに変化は認めなかった.【結論】糖尿病患者においてHp感染は動脈硬化発症の独立した危険因子であることが示唆された.インスリン抵抗性についてはHp除菌前後では変化が見られなかった. |
索引用語 |
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