セッション情報 ワークショップ6.

Helicobacter感染症研究の進歩

タイトル

W6-07 H.pylori感染による胃粘膜内Protease-activated receptor(PAR)発現の意義

演者 平田育大(京都府立医科大学大学院免疫内科学)
共同演者 吉田憲正(京都府立医科大学大学院消化器内科学), 吉川敏一(京都府立医科大学免疫内科学)
抄録 【背景と目的】種々のプロテアーゼが細胞外基質消化のみならずプロテアーゼ活性化型受容体(protease-activated receptor;PAR)を介してサイトカインやプロスタグランジンなどの炎症性心ディエータの産生を惹起し炎症免疫疾患の病態に重要な役割を果たしていることが知られている.さらにPARは細胞増殖やアポトーシスにも関与していることが明らかになってきた.われわれはこれまでにH. pylori(Hp)が胃粘膜培養上皮細胞上にPAR1およびPAR2を発現誘導することHp由来のプロテアーゼがPARを介してIL-8産生を惹起することを報告(Digestioninpress)してきた.今回ヒト胃粘膜生検組織を用いてHp感染によるPARの発現動態とIL-8産生について検討した【方法1文書同意の上上部消化管内視鏡検査時にHp陽性胃炎患者21名陰性対象者14名の前庭部体部の大畠より粘膜組織を採取した.Hp感染の有無は迅速ウレアーゼテスト組織鏡検法のいずれかにより判定した.Hp感染/非感染胃粘膜におけるPAR1PAR2およびIL-8の発現をreamme PCRと免疫組織化学で検討した.またHp除菌前後の各々の変化を比較検討した.【結果】Hp非感染胃粘膜においてPARIPAR2はともに恒常的に発現していた. Hp感染により胃粘膜内のPAR1PAR2の発現は著明に急進しIL-8産生も増加していた.PAR1およびPAR2の発現量と粘膜内のIL-8発現量は相関していた.Hp除菌によりPAR1PAR2およびIL-8は低下した.【結論】Hp感染は胃粘膜内のPAR発現を誘導してIL-8産生を元進させることよりHp関連胃炎の病態におけるPARの関与が示唆された.今後細胞増殖やアポトーシスの面からの検討が重要である.
索引用語