セッション情報 ワークショップ6.

Helicobacter感染症研究の進歩

タイトル

W6-08 CagAはNF-kappaB活性化を介して炎症惹起に関与する

演者 前田愼(朝日生命成人病研究所消化器科)
共同演者 大前知也(東京大学消化器内科), 小俣政男(東京大学消化器内科)
抄録 [目的]cagA陽性のヘリコバクター・ピロリは陰性のものより強い胃炎を惹起し胃癌との強い関連が示されている.しかしながらピロリ菌感染におけるCagA蛋白の病因因子としての役割は未だ十分に明らかにされてはいない我々はスナネズミモデルを用いてcagA変異株が野生株と比較し炎症が減弱していることを示した.今回その分子機構として炎症性サイトカインケモカインの発現に重要なNF-iC13の活性化とCagAとの関連を検討した.[方法コ胃がん細胞株(AGS)に野生株cagA変異株を感染させNF一田の活性化をリポーターアッセイにて検討した.またCagA蛋白による直接的なNF一C13の活性化を同様のアッセイにて調べた.NF一雨に制御されるIL-8について同様に検討した.活性化経路のさまざまな蛋白の関与をNF-iCl]活性化に関与する遺伝子のsiRNAおよびノックアウト細胞を用いて行った.[結果]野生株によって観察されたNF・一iC13の活性化はcagA変異株によって約20%減弱したCagAを発現させることによりNF-KBの活性化は3.5倍上昇した.またCagA発現によってAGS細胞からIL-8が分泌された. TLR/1レ1レセプターの下流の因子であるMyD88TRAF6およびIKKβのsiRNAにおいてCagAによるNF-kB活性化が抑制された同様にTRAF6およびIKKβのノックアウトマウス線維芽細胞においてNF-kB活性化は抑制された.[結論]CagAはMyD88-TRAF6-IKKを介してNF-icBを活性化しIL-8などの分泌促し炎症惹起に関与している可能性が示唆された.
索引用語