セッション情報 |
ワークショップ6.
Helicobacter感染症研究の進歩
|
タイトル |
W6-09 Helicobacter pylori感染によるAID発現を介したヒトゲノム異常生成の分子機構
|
演者 |
丸澤宏之(京都大学消化器内科学) |
共同演者 |
松本裕子(京都大学消化器内科学), 千葉勉(京都大学消化器内科学) |
抄録 |
[目的]ヒト発癌過程において種々の癌関連遺伝子に点突然変異や染色体異常(転座欠失など)を含むゲノム異常の生成が重要な役割を果たしていることが知られている.胃上皮細胞におけるHelicobacterpylori(H. pylori)感染による変異原性についていくつかの報告があるがその詳細な分子機構は不明である.遺伝子編集酵素 activation-in-duced cytidine deaminase(AID)がπ四Zo”感染をi契機に胃上皮細胞で異常発現・機能し胃癌発生過程にみられる各種癌関連摘心子におけるゲノム異常の出現への関与についての検討を行った.[方法・結果]AIDを過剰発現したマウスモデル(AIDトランスジェニックマウス)の解析から胃上皮細胞におけるAIDの異所性発現により胃腺腫のみならず胃癌が発生することが明らかとなった.1π嘘roでは胃上皮培養細胞において。躍gPAI陽性H. nylori感染が誘引となりNF-KB依存性に内在性のAIDが異所性に発現誘導されることAIDの過剰発現の結果p53遺伝子に変異が誘導されることが明らかとなった.活性化AIDを誘導する胃上皮培養細胞系を樹立してゲノム異常について検討したところAID発現の結果癌関連遺伝子に高頻度に点突然変異が生じるのみならず染色体レベルにおいてもAID発現時間に依存性に特定の染色体に欠失が生じていくことが示された.[結論]H.pylori ma染による慢性胃炎からの胃発癌過程における点突然変異や染色体異常を含むヒトゲノム異常生成において遺伝子編集酵素であるAIDが重要な役割を果たしている可能性が示唆された. |
索引用語 |
|