セッション情報 ワークショップ6.

Helicobacter感染症研究の進歩

タイトル

W6-10 H.pylori空胞化毒素VacAのアポトーシス誘発機構の解明

演者 磯本一(長崎大学第二内科)
共同演者 河野茂(長崎大学第二内科), 平山壽哉(長崎大学熱研病原細菌)
抄録 【目的1Vacuoiating cytotoxin(VacA)はHpylori産生空胞化毒素であり胃粘膜障害に関わる病原因子の1つである.消化性潰瘍との関連性だけでなくintermediateregionの多型と胃癌発症の関連性が報告された.我々はVacAが空胞形成非依存的にミトコンドリア膜透過性充進を引き起こしアポトーシスを誘発することを報告したがその機序は十分に解明されていない今回Bc1-2ファミリー蛋白質の抗アポトーシス分子及びその転写因子STAT3の発現変化とVacA誘発アポトーシスとの関連性を調べ催アポトーシス分子であるBaxBakの活性化やミトコンドリア障害を検討した.【方法】2種類の胃癌細胞株(AZ-521とAGS)に精製VacAを添加し経時的なSTAT3Mcl-1Bcl-xLBcl-2の発現変化をWestern blotで調べたまたmRNA発現の定量解析はreal-t㎞e PCRで調べたBaxBakの活性化はフローサイトメトリーでそのミトコンドリアへの局在は共焦点顕微鏡で証明した.アポトーシス実行に至る検証はチトクローム。放出ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)切断p53リン酸化(Western blot)Annexin V(フロー.サイトメトリー)ELISA-based TUNEL assayで行った.【結果】VacAはSTAT3 mRNA Ievelsを減少させ6時間後に蛋白発現が著減した抗アポトーシス3分子とも減少したが特にMcl-1発現が著減したこれに応じたアポトーシス誘発はELISAとフローサイトメトリー・で確認した.フローサイトメトリーによりBak及びBaxが活性化状態にシフトしミトコンドリア膜への局在(mtHSP70との餌壷)が認められ6-12時間後にチトクローム。のミトコンドリアから細胞質への放出とPARP切断がみられた. P53Ser15のリン酸化も認められたこれらはBafilomycin A(空胞化阻害)の前投与により変化がみられなかった.【結論】VacAによってSTAT3発現が抑制されその転写制御下流のMcl-1発現が減少することやp53の安定化がBak/Baxを活性化しミトコンドリア障害からアポトーシス実行に至るものと考えられた
索引用語