セッション情報 ワークショップ7.

遺伝性消化管疾患の臨床像と遺伝子変異

タイトル

W7-02 遺伝性消化管ポリポーシスの内視鏡的検討

演者 矢嶌弘之(長崎大学医学部第二内科)
共同演者
抄録 【目的】遣伝性消化管ボリポーシスのなかで家族性腺腫性ポリポーシスの患者では大腸癌が高率に発癌することは周知の事実であるが遺伝性消化管ポリポーシスの患者では大腸以外の発癌率も高い。今回我々は家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)1例Peutz-Jeghers症候群(PJS)6例の腸管病変と背景粘膜を拡大内視鏡を用いて観察したので報告する.【対象と方法】1.FAPでは胃の拡大観察と大腸の拡大観察を施行した.2. PJSでは大腸の拡大観察t 6例の経過を検討した、【結果】1.FAPでは体部に過形成ポリープの多発を認めたが前庭部に腺腫は認めなかった体部には多発した過形成ポリープの中に腺腫が散見され腺腫成分を混在した過形成ポリープを認めた.直腸から盲腸まで腺腫性ポリープが多発し直腸S結腸に2型の進行癌を認めた.背景粘膜のaberrant crypt fociを認めた.2. PJSの大腸の拡大内視鏡観察では通常観察で正常にみえる大腸粘膜にもピットの拡張を認めた.また観察されたACFには軽度に拡張したものと長径の拡張が目立つものがありポリープもその形態を反映していた.6例中1例に大腸癌の既往を認めた.小腸内視鏡でポリペクトミーを施行した1例では治療後1年に急速かつ多発性にポリープの増大を認めた.Ki67p53染色を施行した.【結論】FAPで過形成ポリープの多発する胃底腺領域にも拡大観察で腺腫や腺腫成分を混在した過形成ポリープを認めたことは興味深い.PJSでは正常に見える背景粘膜にも腺管拡張を認めたことはポリープの発生や経過観察を考える上で重要と考えられる.PJS経過観察のなかで大腸癌の発生を認めた1例治療後1年で急速なポリープの進展を認めた1例は遺伝子変異を精査する必要がある.
索引用語