セッション情報 ワークショップ7.

遺伝性消化管疾患の臨床像と遺伝子変異

タイトル

W7-07 家族性大腸腺腫症における同一家系内の大腸ポリープ発現の差異に関する検討

演者 石川秀樹(京都府立医科大学分子標的癌予防医学)
共同演者
抄録 家族性大腸腺腫症はAPC遺伝子の変異部位により大腸発癌や大腸ポリープの発現に傾向があると報告されている.しかし私たちは同一家系内でありながら大腸ポリープ発現にi著しい差を認めた家系を経験したのでこれらの家系を報告するとともにポリープの発生状況に差を生じた理由について環境要因からの検:討を行った.家系1:症例は27歳男性.愚親は40歳時に大腸癌を合併した密生型の家族性大腸腺腫症にて大腸全摘回腸肛門吻合術を受け母の兄は36歳時に大腸癌にて死亡している.25歳時に全大腸内視鏡検査を施行大腸全体に色素散布を行い詳細に観察したがポリープを認めなかった.PTTアッセイにて母親のAPC遺伝子に病的変異を認め本人に遺伝子検査を施行し同一部位に病的変異を認めた.26歳時と27歳時にも全大腸内視鏡検査を施行大腸全体に色素散布を行いながら詳細に観察したが腺腫を認めなかった.同時期に行った上部消化管内視鏡検査では多数の胃底腺ポリープを認めた.妹もAPC遺伝子に病的変異を認めたが大腸には数個のポリープを認めるのみであった.家系2:症例は年齢が2歳離れた兄弟.父が家族性大腸腺腫症にて結腸全滴回腸直腸吻合術を受けている.PTTアッセイにて父親のAPC遺伝子に病的変異を認め兄弟に遺伝子検査を施行し2人とも同一部位に病的変異を認めた.兄弟がそれぞれ19歳の時に行った大腸内視鏡検査では大腸ポリープ数に大きな差を認めた.その差はS状結腸で顕著であった.家系1家系2の患者に対して生活習慣調査3日間連続記録式食事調査や乳酸上昇閾値測定による体力調査を実施したところ大腸ポリープに影響を与える最大の要因は最大酸素摂取量であり大腸ポリープの最大径と負の相関を認めた.
索引用語