セッション情報 |
ワークショップ8.
B型慢性肝疾患の治療戦略
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タイトル |
W8-02 長期予後改善を目指したB型慢性肝疾患の治療戦略
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演者 |
黒崎雅之(武蔵野赤十字病院消化器科) |
共同演者 |
泉並木(武蔵野赤十字病院消化器科), 三宅祥三(武蔵野赤十字病院消化器科) |
抄録 |
【目的】B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤の治療効果について検討した.【方法1初回治療でのLamivudine(LAM)153例Entecavir(ETV)46例LAM耐性例でのLAM・ADV併用43例ETV10例の効果を検討した.核酸アナログの発癌抑止効果を無治療242例と比較検討した.発癌後の再発抑止予後改善を肝癌局所治療45例で検討した(核酸アナログ投与16例非投与29例).【成績】初回治療のETV治療効果は48週HBVDNA陰性95%ALT正常93%両者達成87%であった.LAMからETVへの切り替え例では全例HBVDNAが持続陰性化し耐性変異は認めなかった.LAM長期治療例ではbreakthroughを伴わない潜在的LAM耐性変異が存在した(治療1-2年14%2-3年17%3年以上27%).LAM耐性例に対するLAM ・ ADV vs. ETVのHBVDNA陰性化率は24週39%vs. 63%48週61%vs67%72週65%vs 67%と治療早期にETVで高いが耐性変異出現率はETVで2年17%3年50%ADVで3年0%であり96週のHBVDNA陰性化率は79%vs.67%と逆転したLAM耐性例の治療効果関連因子はHBVDNA〈7.51091mlHBe抗原陰性ALT>160U/1であったHBVDNA5.O log/m1以上(odds 2.61p=O、〔欺)核酸アナログ非投与(odds 2.53p=0.04)は発癌関連因子であり5010g/ml以上例では核酸アナログ投与例で発癌率が抑制された(3年1.8%vs.6.9%5年4.2%vs11.9%10年11.1%vs23.4%p=O.05).肝癌局所治療後の再発率は核酸アナログ治療例で低い傾向を認め(3年54%vs. 87%p=O.12)3年生存率は核酸アナログ投与例で100%非投与例で67%であった【結謝現時点では核酸アナログ初回治療の第一選択はETVであるLAMからETVへの切り替えは有用だが潜在的LAM耐性変異に注意を要する. LAM耐性例に対するLAM・ADV療法は早期抗ウイルス効果が不十分でもHBVDNAは緩徐に低下し耐性も出現しないため長期寛解維持に有用である.核酸アナログ治療は発癌リスクが高いHBVDNA5.0 log/ml以上の症例での発癌抑止および肝癌治療後の予後改善に有用と考えられる。 |
索引用語 |
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