セッション情報 ワークショップ8.

B型慢性肝疾患の治療戦略

タイトル

W8-03 B型慢性肝炎の治療成績と治療戦略

演者 鈴木文孝(虎の門病院肝臓センター)
共同演者 熊田博光(虎の門病院肝臓センター)
抄録 【目的】B型肝炎に対する治療としてlnterferon(IFN)Lamivudine(LMV)が主に行われてきたが現在はAdefovir(ADV)Entecavir(ETV)の投与も開始されているこれら抗ウイルス剤の長期成績を中心に解析した.【方法】1.IFNの長期成績;5年以上経過観察期間のある314例で年齢39歳(19-69)HBeAg+/一:189/125投与期間1年(O.8-14)2LMV耐性ウイルスに対するADV治療:238例で年齢47歳(26-75)eAg+/一:141/86投与期間1.5年(O2-4)3ETV治療:(1)LMV耐性ウイルス症例:長期投与19例年齢38歳(30-65)eAg+/一:13/6投与期間4年(2一一4.3)(2)naive例;119例で年齢49歳(27-75)eAg+/一:65/54投与期間34週(15-230)(3)ALT値正常DNA量5以下での切り替え例:49例で年齢52歳(28-77)eAg+/一:34/15投与顧問31週(20-152).【成績11. IFN治療:中央値9.4年の経過観察期間で91例(27%)が著効となった.著効例はeAg陰性例44%陽性例19%であったまたeAg陽性例では35歳未満の症例で25%35歳以上で14%が著効であった.2.ADV治療:1年3年目のALT値の正常化率はそれぞれ84%92%DNA陰性化率は62%85%であった.一方耐性ウイルスが3例で確認され1例にETVもう1例にはTenofovirを使用している.3. ETV治療:(1)LMV耐性ウイルスに対する治療;1年3年目のALT値の正常化率はそれぞれ95%78%DNA陰性化率は26%47%であった.ETV耐性ウイルスは10例(eAg陽性9例)に出現し5例で肝炎を起こしている.(2)naive症例:6ヶ月目のALT値の正常化率は96%DNA陰性化率は83%.長期投与の1例でETV耐性が確認され肝炎を起こした.(3)ETVへの切り替え例;6ヶ月目では全例DNAが陰性化しているしかし切り替え時31%でYMDD mu・tantを認めていた.【結論】若年症例ではIFN(できれば長期投与)が望ましい.またLMV耐性ウイルスによる肝炎にはADVが効果的であるが少数例で耐性出現が起こる.ETVはnaive症例に対して非常に有効であるLMVからETVに切り替えた場合短期的成績は良好であるがETV耐性出現に関しては今後の検討が必要である.
索引用語