セッション情報 ワークショップ8.

B型慢性肝疾患の治療戦略

タイトル

W8-06 核酸アナログ製剤を用いたB型慢性肝疾患の治療成績

演者 深井健一(千葉大学腫瘍内科学)
共同演者 今関文夫(千葉大学腫瘍内科学), 横須賀收(千葉大学腫瘍内科学)
抄録 【目的】B型慢性肝炎(CHB)に対する最適な治療戦略を検討するため当院におけるCHBに対するlamivudine(LAM)およびentecavir(ETV)の治療成績とLAM耐性例に対するLAM+adefovir dipivoXi1(ADV)併用およびETV変更例の治療成績について検討した.【方法】対象は当院において現在LAM継続投与中の55例[LAM群男女比44:11eAg+/一 39/16投与期間中央値51ヶ月(11-94)]とETV投与34例[ETV群男女比23:11eAg+/一 16/18投与期間中央値9ヶ月(3-54)うち9例は3年以上継続中]で血清ALT値HBV DNA量の推移eAgSCの有無および耐性ウイルスの出現(VBT)について比較した.さらにLAM耐性例に対するADV併用群19例およびETV変更群6例について治療効果を検討した【成績】投与開始時の背景因子ではETV群の方が年齢は高く(中央値LAM 9e 43 ee vs ETV群51歳)ALT値は低かったが(平均LAM群475±4041U/L vs ETV群225±1571U/L)HBV DNA量には差がなかった.血清ALT値改善効果およびeAgSC率は山群間でほぼ同様であったがVBTはETV群では1例も認めていないのに対しLAM群では36%(20/55)と高頻度であった投与24週時のHBV DNA陰性化率はLAM群75%(41/55)ETV群76%(19/25)と両群間で差はなかった.LAM群では24週時HBV DNA陰性化の有無がVBT出現の予測因子となったがETV群では24週時HBV DNA陽性例からもVBTはなかった.またLAM耐性20例のうち18例は3年以内にVBTが出現しており4年目以降にVBTが出現したのは2例のみであった(3年以上LAM継続例は24例). LAM耐性例に対する治療法の検討で24週時HBVDNA陰性化率はADV併用群で53%(10/19)ETV変更群17%(1/6)であったまたETV変更群で2例にETV耐性が出現した.【結論】核酸アナログ筆使用例に対するETV治療はLAMと比べてVBT出現が少なく長期投与に適していると考えられた一方LAM耐性例に対してはADV併用群でVBT出現が少なく長期治療効果が期待できると考えられた.またLAM耐性非出現例に対するETVへの変更の時期や効果については今後の検討が必要である.
索引用語