セッション情報 |
ワークショップ8.
B型慢性肝疾患の治療戦略
|
タイトル |
W8-09 抗ウイルス療法中のB型慢性肝炎における発癌例の検討
|
演者 |
姫野克郎(大分大学医学部消化器内科) |
共同演者 |
清家正隆(大分大学医学部消化器内科), 寺尾英夫(大分大学健康保健管理センター) |
抄録 |
【目的】大分B型肝炎研究会では県内の肝臓病専門施設でラミブジン投与開始されたB型慢性肝炎患者の経過を追っている.その経過のなかで肝細胞癌の初回発癌を12例に認めた.そこでその臨床的背景を非発癌例と比較し抗ウイルス療法の発癌抑制効果について検討した.【対象】B型慢性肝炎(肝硬変を含む)に対しラミブジンを導入した181例のうちラミブジン導入前に肝細胞癌を発症した36例治療期間1年未満8例を除く137例.男:女=98:39CH:LC=90:47平均年齢48.5才. HBe抗原+:±:一=79:4=53(n=136)HBVDNA中央値7.3 log copy or LGE/ml(n=125).このうち発癌例12例非発癌例125例で両者の比較を行った.【結果】平均治療期間46.8ヶ月で137例中12例(8.7%)の初回発癌を認めた(男:女=6:6CH:LC =2:10HBe抗原+:±:一=5:2:5耐性株あり:なし;6:6).ラミブジン開始から発癌までの平均期間は36ケ月(9~75)発癌時のHBVDNAは9例が陰性(アデフォビル追加2例)3例が陽性(アデフォビル追加1例)であった.発癌例と非発癌例のラミブジン開始時背景を比較するとそれぞれ(1)年齢は57.4±8.947.6±11.3才(p〈0.01)(2)ALT値6&5±55.5190.8±222.41U/L(3)血小板数8.8±4.314.4±6.3万/mm3(p<001)(4)HBVDN中央値7.37.310g copyor LGE/mlであった.経過中のウイルス量の推移の相違については明らかな傾向はなかった.年齢と血小板数に有意差を認めた.【考察】抗ウイルス療法中の発癌率は約4年の治療期間で8.7%であった.発癌例と非発癌例との比較では発癌例の方が高齢でまた肝硬変の比率が高かった.ラミブジン開始時HBVDNA値や抗ウイルス療法の効果については発癌例と非発癌例との間に明らか差異はなかった.【結語】肝硬変で年齢が50代後半のB型肝炎症例では抗ウイルス療法中であっても発癌に注意する必要がある. |
索引用語 |
|