セッション情報 ワークショップ8.

B型慢性肝疾患の治療戦略

タイトル

W8-10 B型肝炎関連肝細胞癌切除例における抗ウィルス療法

演者 久保正二(大阪市立大学肝胆膵外科学)
共同演者 竹村茂一(大阪市立大学肝胆膵外科学), 上西崇弘(大阪市立大学肝胆膵外科学)
抄録 【目的】我々はB型肝炎(HBV)関連肝細胞癌(肝癌)切除後においてウィルス量などの肝炎ウィルス病態が肝癌再発など治療成績に影響を及ぼすことを報告してきた.そこでHBV関連肝癌切除例における抗ウィルス療法の成績を検討した.【対象と方法】1990年以降HBV関連肝癌86例に根治切除が施行された.2001年10月以前(前期)の45例中5例では術後長期間を経過した後ラミブジンが投与された.2001年11月以降(後期)41例中6例では抗ウィルス療法中あるいは後に肝癌が発見された.残り35例中26例の術前血清中HBV DNA量(TMA法)が>3.7mEq/しと高ウィルス量であった.これら26例中16例にはラミブジンやエンテカビルなどの抗ウィルス療法が施行された.後期群で高ウィルス量26例中枢ウィルス療法が施行されなかった10例(対照群)と抗ウィルス療法が術前(6例)ないし後(16例)に施行された22例(施行群)の術後成績を検討した.【結果】術前低ウィルス量例に比較し高ウィルス量症例の生存率は有意に低値であり高ウィルス量が肝癌再発危険因子であった.ラミブジン投与開始後肝癌発見6例中3例では変異株がすでに出現していた.術後抗ウィルス療法施行21例における抗ウィルス療法の効果はBRVR15例BR3例VR2例NR1例であった.しかし9例では投与開始7ヶ月から28ヶ月後に変異株が出現し8例ではアデフォビルが投与された.対照群に比較し抗ウィルス療法施行群の術後無再発および累積生存率は良好であった.【結論】変異株出現などの問題があるがHBV関連肝癌切除例において抗ウィルス療法は術後成績を向上させる可能性がある.
索引用語