セッション情報 ワークショップ9.

膵癌の補助療法

タイトル

W9-05 切除可能膵癌に対する術前化学療法の意義

演者 元井冬彦(東北大学肝胆膵外科)
共同演者 江川新一(東北大学肝胆膵外科), 海野倫明(東北大学肝胆膵外科)
抄録 (目的)切除可能膵癌に対する術前化学療法(NAC)の有用性を考察する.(対象)2006年7月26日から2007年11月1日までにGEMによるNACを施行した.切除後の病理診断で通常型の膵癌が否定された3例を除く25例を検討対象とし安全性・有効性を評価した.平均年齢は63.4歳男性16例:女性9例である.GEMは平均4.1回(3.6g/m2)投薬され25例に計103回の投与が行われた.(副作用)grade 2の血小板減少2回grade 3の好中球減少6回を認めGrade 3以上の副作用発現率6%であった非血液毒性は全てGrade 2以下であった80%減量は8例(32%)で行われた.(術前評価)25例中1例は再評価で肝転移が出現し非手術.20例で切除可能であった(切除率80%).非切除4例の理由は術前画像診断で指摘できなかった遠隔転移3例(肝転移2例腹膜播種1例)局所過進展(肝動脈浸潤)1例であった.RECIST基準による効果判定はSD24例PD1例であった.腫瘍マーカー(TM)はNAC施行前20例で上昇しており3例で増加17例で減少(8例で50%以上)していた.(手術)切除術式は15例で膵頭切除2例で体尾部切除3例で膵全摘が施行されている.周白虹合併症は2例に膵液痩を認め1例に肝梗塞を認めたがいずれも保存的に改善し退院している.(効果)切除後のTMは14例で正常化しており6例で基準値以上であった.組織学的にはstage 3が4例stage 4aが13例stage4bが8例でありROが13例(65%)R1が7例であった大星・下里分類ではgrade Oが1例grade Iが4例grade Haが20例でありgrade Hb以上の効果を認めた症例はなかった.切除20例中3例が再発原病死しており他病死はなく最長15か月無再発生存中である.(評価)NACは副作用も軽微であり周術期合併症の増加もなく安全に施行し得たRECIST基準では奏効率0%であり組織学的効果も軽微ではあるもののTMの低下・正常化は多くの症例で観察されており今後生存期間での評価が必要と考えられた
索引用語