抄録 |
【目的】膵癌は難治癌の代表であり最も予後不良である.手術のみが膵癌を根治しうる治療法でありRO切除を行うことが予後の改善につながる.しかし進行膵癌での平均生存期間は現在もなお1年未満であり進行度に応じた治療戦略が重要である.当科ではUICC T分類に応じて化学療法(CT)放射線化学療法(CRT)と前方到達法による切除術を組み合わせた集学的治療を行うことにより患者のQOLをそこなうことなくRO切除率を向上させ予後の改善を目指している.【方法】2005年2月~2007年10月に経験した遠隔転移を伴わない膵癌34例を対象にUICC T分類(術前診断)から治療方針を決定. T12症例:切除後にCT(Gem 1000mg/m2/2w)を行う. T34症例:CRT(Gem800mg/m2+radiotherapy 45Gy/5weeks)を施行後に手術を行い術後CTを行う.Primary endpointを生存率secondary endpointを手術施行率RO達成率とした.【結果】T12(n=3)=RO切除率66.6%1例は28ヶ月生存中2例は術後7ヶ月15ヶ月で再発死(病理検:査では2例ともT3). T3(n=24):手術施行率66.7%RO切除率92.3%平均生存期間18.5ヶ月だった.T4(n=7):手術施行率42.9%RO切除率333%平均生存期間11.4ヶ月だった.【結論】術前画像診断でTl2症例であっても病理検査ではT3と診断されROが達成出来ない症例があり術後早期に肝転移再発を来し予後は不良であった.T3症例ではCRTを手術に先行させることによりRO切除率を向上させ予後を改善すると考えられた.T4症例では遠隔転移の出現や高度癌浸潤のため手術施行率RO切除率は不良であった今後は手術適応を厳選し確実なRO切除を行うためにCRTにCTを先行させ局所コントロールの可否を厳正に判断し手術を施行する方針である. |