セッション情報 ワークショップ10.

自己免疫性肝胆膵疾患の胆管病変をめぐって

タイトル

W10-02 原発性硬化性胆管炎と自己免疫性膵炎に関連する硬化性胆管炎の検討

演者 中沢貴宏(名古屋市立大学消化器・代謝内科学)
共同演者 安藤朝章(名古屋市立大学消化器・代謝内科学), 大原弘隆(名古屋市立大学消化器・代謝内科学)
抄録 【目的】原発性硬化性胆管炎と自己免疫性膵炎に合併する硬化性胆管炎はしばしば画像上類似の像を呈するために診断に難渋することがある.そこで我々が経験した硬化性胆管炎の臨床像を検討しその相違点を明らかにすることを目的とする.【方法】当科およびその関連施設にて経験した硬化性胆管炎85例を対象とし1.臨床像2.胆管像3.病理組織像について比較検討した【結果】硬化性胆管炎は原発性硬化性胆管炎(以下PSC)35例自己免疫性膵炎を合併する硬化性胆管炎(以下自己免疫性硬化性膵胆管炎AISPC)47例自己免疫性膵炎を合併しないが同様な病態が発症機序として考えられる硬化性胆管炎(以下自己免疫性硬化性胆管炎AISC)3コ口3群に分類された.1.診断時年齢はAISPC654±10.8歳AISC71.0土122歳でPSC43.8±19.5歳に対してより高齢で発症しステロイドやドレナージに反応し予後が良好であった血中のlgG4の値はPSC34.4±29.4mgr’dlに対してAISPCは732±685mg/dlと高値を呈した. AISCは210±2&9mg/dlと軽度高値にとどまった.2.AISPCAISCの胆管像は1-4型に分類されさらに詳細に検討するとband一画ke stricturebeaded appearancepruned tree appearancediver・ticUlum一二ke outpouchingはPSCにsegmental stricturedlation after confluentstricture下部胆管の狭窄はAISPCAISCに有意に多く認められた.3.肝生検像でstage lHIVおよびonion skin lesionはPSCにおいてのみ認められた. AISPCは膵臓のみでなく肝内外の胆管唾液腺にも抗IgG4抗体で陽性に染色される形質細胞の浸潤を多数認めた.AISCにおいても抗IgG4抗体で陽性に染色される形質細胞の浸潤を胆管壁に多数認めた【結論】自己免疫性膵炎はしばしば硬化性胆管炎を合併するが膵病変の合併が明らかでない自己免疫性硬化性胆管炎も存在し両者はステロイド治療に良好な反応をするため古典的なPSCと正確に鑑別したうえで治療方針をたてる必要があると考えられた.
索引用語