セッション情報 ワークショップ10.

自己免疫性肝胆膵疾患の胆管病変をめぐって

タイトル

W10-03 IgG4関連硬化性疾患の胆管病変の検討

演者 江川直人(東京都立駒込病院内科)
共同演者 神澤輝実(東京都立駒込病院内科), 屠聿揚(東京都立駒込病院内科)
抄録 【目的】我々は自己免疫性膵炎患者の諸臓器の検索よりIgG4陽性形質細胞とTリンパ球の密な浸潤が全身諸臓器に起り線維化と閉塞性静脈炎が生じる膵臓胆管胆嚢唾液腺や後腹膜などでそれぞれの臨床徴候を呈するIgG4関連硬化性疾患という新しい疾患概念を提唱し自己免疫性膵炎は本症の膵病変と考えた.IgG4関連硬化性疾患の胆管病変の臨床病理学的所見を原発性硬化性胆管炎(PSC)と比較検討した.【方法】自己免疫性膵炎42例中胆管病変を有する33例とPSC4例を対象として検討を行った.【成績】1. PSCは男性1例女性3例で診断時の年齢は1824歳と5461歳であり若年の2名は潰瘍性大腸炎を伴っていた.胆管狭窄は多発し肝内胆管のみ2例肝内外胆管2例で枯れ枝状変化3例数珠状変化3例憩室様変化2例毛羽立ち様変化2例を認めた.膵管像に異常なく血中IgG4値はいずれも低値であり高齢の1例が肝移植を受けた.2.胆管病変を有する自己免疫性膵炎は男性28例女性5例で診断時の平均年齢は65歳であった.全例膵管狭細像を呈し胆管狭窄は下部胆管32例上中部胆管1例肝内胆管4例であり狭窄のない胆管壁の肥厚を8例で認めた.肝内胆管狭窄は肝門部胆管を中心とし数珠状や枯れ枝状変化はなかった.硬化性胆嚢炎7例硬化性唾液腺炎5例後腹膜線維症3例などの合併を認めた.血中IgG4値は83%の例で上昇しステロイド治療を施行した25例全例で病変が軽快した.面外胆管壁は膵臓と同様にリンパ球と形質細胞の密な浸潤を伴う線維化により全層性に肥厚し閉塞性静脈炎を認めたが肝内門脈域ではPSCでみられるonion-skin状の線維化は認められなかった. IgG4陽性形質細胞の密な浸潤が膵臓鯉山胆管壁胆嚢壁肝内門脈域唾液腺後腹膜胃粘膜大腸粘膜リンパ節などに認められたがPSC症例の胆管壁や肝内門脈域にはみられなかった.【結論】自己免疫性膵炎に合併した胆管病変はIgG4関連硬化性疾患の胆管病変と考えられPSCとは異なる臨床病理学的所見を呈した.
索引用語