セッション情報 ワークショップ10.

自己免疫性肝胆膵疾患の胆管病変をめぐって

タイトル

W10-08 自己免疫性膵炎における胆管病変の検討

演者 三好秀明(関西医科大学消化器肝臓内科)
共同演者 内田一茂(関西医科大学消化器肝臓内科), 岡崎和一(関西医科大学消化器肝臓内科)
抄録 【目的1自己免疫性膵炎は多種の臓器に膵外病変を有し全身的疾患である可能性も示唆されている.特に胆管病変を有する症例は多く閉塞性黄疸を発症することも少なくない.また画像上原発性硬化性胆肝炎(PSC)様の所見を呈する症例も多数認められる.一方様々な自己免疫性疾患の発症に制御性T細胞(Treg)が関与していることが数多く報告されている.今回われわれは当院における胆管病変を有する自己免疫性膵炎患者(SC-AIP)とPSC患者の免疫学的検討を行った.【方法】対象はSC-AIP15ケ月PSC3例. SC-AIPは15例で年齢は平均611歳(31-73歳)男性11例・女性4例でステロイド投与されたものが7例であった.糖尿病は3例に甲状腺炎・肝偽腫瘍が1例に認められた.PSCは3例で年齢は平均603歳(25 一 79).男性1例・女性2例ステロイド投与されたものが1例であった.合併症は多発性筋炎が1例に認められた.これらの症例に対し血清免疫学検討とフローサイトメトリーもしくは免疫組織学を用いて制御性T細胞IgG4陽性形質細胞について検討を行った.【成績】IgG4はSC-AIP群では345mg/dl(22-1540)PSC群では175mg/dl(37-313)であった.抗核抗体はAIP群5例(30%)で陽性PSC群では1例(33%)に認められた.末梢血中TregはAIP群3.50%(L63-7.69)PSC群2.65%(2.60 一 2.88)であった.免疫組織学的検討ではIgG4陽性細胞はSC-AIP群では11.7cells/HPF(4-21)PSC群では1cells/HPFとSC-AIP群で多く認められた.Foxp3陽性細胞はSC-AIP群では5.3cells/HPF(3-10)PSC群では2cells/HPFであった.またステロイド投与された症例ではSC-AIP群では全例で胆管病変が改善した.【結論】SC-AIPとPSCにおける胆管病変の病態には異なる機序が関与していると推測された.
索引用語