セッション情報 ワークショップ10.

自己免疫性肝胆膵疾患の胆管病変をめぐって

タイトル

W10-09 自己免疫性肝胆膵疾患の胆管病変の臨床病理学的検討

演者 西野隆義(東京女子医科大学八千代医療センター消化器内科)
共同演者 橋本悦子(東京女子医科大学消化器内科), 白鳥敬子(東京女子医科大学消化器内科)
抄録 【目的1内視鏡的胆管造影(ERC)で診断可能な自己免疫性肝胆膵疾患の胆管病変として原発性硬化性胆管炎(PSC>自己免疫性肝炎に合併するPSC(AIH-SC)および自己免疫性膵炎に合併する硬化性胆管病変(SC-AIP)があげられる今回AIH-SCPSCおよびSC-AIPの診断および治療法を確立するために臨床病理学的検討を行った.【方法】L血dor(2003)らの基準による硬化性胆管病変59例をAIH-SC 7例(M:F=3:4)PSC 22例(M:F=12:10)SC-AIP 30例(M:F=21:9)の3群に分けた.AIH-SCの診断はInternational Autoimmune Hepatitis Group(1999)のprobable以上とした.【結果】1)診断時年齢はAIH-SC 14-46歳(中央値22)PSC 15-69歳(37)SC-AIP 45-83歳(68)であり有意差(p<001)を認めた2)末梢血好酸球数はAm-SCPSCで高値で血清Ig(XはSC-AIPで高値(P<0.OI)だった.抗核抗体陽性率はAM-SCIOO%PSC 38%SC-AIP 86%であった.3)ERCにてAIH-SCPSCではBand-1ike strictureBeaded appearanceおよびPruned-tree appearanceが特徴的(P<OOO1)でありSC-AIPでは下部胆管狭窄segmental strictureが特徴的(p<O.001)だった4)肝生検ではAI面一SC/PSC/SC-AIHでfibrous cholangitisの出現率(%)は各々43/41/8でpiecemea1 necrosisは71/18/16だった.浸潤細胞はSC-AIPでIgGl陽性形質細胞(p;0.04)およびlgG4陽性形質細胞(p<O.001)の浸潤が特徴的であった.5)ステロイドはPSCでの投与はないがAIH-SCおよびSC-AIPで有効率が各々57/100(%)であった.5年以上の経過観察例ではAIH-SC 75%(3/4)PSC67%(6/9)で病態が進行したがSC-AIPでは全例改善した.6)潰瘍性大腸炎の合併はAIH-SCおよびPSCでは各々71/59(%)に認めたがSC-AIPでは合併例はなかった.【結論】AIH-SCPSCおよびSC-AIPは臨床病理的所見および予後に相違があることが明らかとなった.以上より自己免疫性肝胆膵疾患の胆管病変ではAIH-SCPSCおよびSC-AIPを鑑別し治療することが重要である.
索引用語