セッション情報 ワークショップ10.

自己免疫性肝胆膵疾患の胆管病変をめぐって

タイトル

W10-10 自己免疫性膵炎において肝門部型硬化性胆管炎は癌合併のriskとなる

演者 窪田賢輔(横浜市立大学医学部消化器内科)
共同演者 小林規俊(横浜市立大学医学部消化器内科), 中島淳(横浜市立大学医学部消化器内科)
抄録 【背景】これまで自己免疫性膵炎(AIP)はステロイド治療に反応する予後良好な膵炎として認識されてきた.しかし最近癌合併例が散見されその背景因子は不明である.【目的】AIP癌合併例の臨床病理学的な検討癌のrisk factorの同定.【方法】自験29例AIPのうち5例に癌を合併した膵癌(n=2)胆嚢管癌(n=1)胃癌(n=1)乳癌(n=1)であった.癌合併群(n=5)と非合併群(n=24)を臨床病理学的に検討し単変量多変量解析で癌の危険因子(黄疸の有無血清IgG4値糖尿病の有無膵腫大;Di血se/localVater乳頭部の腫大の有無硬化性胆管炎の程度(下部胆管限局の硬化性胆管炎群と肝門春型硬化性胆管炎群)多臓器病変の有無自然寛解の有無再燃の有無罹患期間)を解析した.病理学的な検討では癌間質細胞へのIgG4陽性細胞浸潤の有無浸潤細胞のsubtypeを検討した.対照としてAIP癌研合併(n=6)(切除2例膵生検4例)慢性膵炎(アルコール性)切除(n=2)通常型膵癌切除(n=6)胃癌切除(n=6)例胆嚢癌切除(n=6)としたAIP担癌症例との炎症細胞浸潤の差異を検討した【結果】2例の膵癌はいずれもステロイド治療を合併症のため中断した症例であった.AIPの自然寛解例では癌合併は見られなかった.癌合併群と非合併群では単変量解析で肝彫目型硬化性胆管炎合併例が有意に多く(p〈O.05)多臓器疾患合併群糖尿病合併群が多い傾向にあった.多変量解析でも描合併と肝幽閑硬化性胆管炎が独立した因子として認められた(OR=803p = O038)病理では癌の間質にTcen優位でIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めた.AIP非合併癌では間質にIgG4陽性形質細胞浸潤を認めなかった.【結語】肝門部型硬化性胆管炎を合併するAIPは癌のriskである病理組織学的に癌問質にIgG4陽性Tcell優位のリンパ球浸潤がみられAIPを背景にした発癌が示唆されたAIPは癌のpOtential riskである可能性が示唆された.
索引用語