セッション情報 ワークショップ10.

自己免疫性肝胆膵疾患の胆管病変をめぐって

タイトル

W10-12 AMA産生胆管障害マウスモデルにおける胆管細胞発現分子の網羅的検討とヒト胆管病変への参照

演者 中込悠(東北大学消化器病態学)
共同演者 上野義之(東北大学消化器病態学), 下瀬川徹(東北大学消化器病態学)
抄録 【目的】NODC3C4マウスは自然経過にてAMA産生を認め特徴的な胆管病変を認める自己免疫性胆管障害のマウスモデルとして報告されている.一方この胆管障害には総胆管と交通するのう胞状の胆管増生も認めている.今回このマウスモデルにおける胆管細胞に発現される遣伝子発現を網羅的に検討しその発現異常を認める分子について各種ヒト胆管病変での発現の参照を行った.【方法】NODC3C4マウスより胆管細胞を分離してNODマウス胆管細胞との対比をマイクロアレイ法にて行い特徴的な発現変化を認めたものを多種のマウスの胆管細胞と対比しさらにヒト肝疾患の病理標本を用いて参照した.【成績】NODC3c4マウスの胆管細胞では細胞周期関連蛋白のほかアポトーシス関連蛋白の発現が低下しており特にCD95(FasAg)の発現低下を認めた。この発現低下は胆管細胞特異的であり脾細胞では発現を認めていた次に同様にCD95発現異常を認めるlpr/lprマウスを用いてその胆管細胞との分子発現を比較したがCD95の発現低下のほかにはC3C4と有意に差を認めるCD95関連の分子を認めなかった.しかしながらlpr/lprマウスでは胆管の異常造成は認めなかった.ヒト肝病理標本では胆管の異常増殖を認めるCaroli病の胆管病変にてCD95の発現低下を認めこれはPBC胆管でのその発現と逆の結果であった.【結論】それぞれAMA産生を認める胆管病変を持つもののNODC3C4マウスに認める胆管の分子発現異常とヒトPBCのそれは異なるアポト 一一シス関連分子の発現異常がありこの点がCaroli病に認められるものと同様の胆管の異常増殖と関連している可能性が示されたt自己免疫性胆管病変における自己抗体産生は多因子の病因による結果を反映している可能性があると考えられた.
索引用語