セッション情報 |
ワークショップ10.
自己免疫性肝胆膵疾患の胆管病変をめぐって
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タイトル |
W10-13 動物モデルaly/aly雄性マウスを用いた自己免疫性膵炎における胆管病変の解明
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演者 |
吉田仁(昭和大学医学部第二内科学) |
共同演者 |
田中滋城(昭和大学医学部第二内科学), 井廻道夫(昭和大学医学部第二内科学) |
抄録 |
【目的】自己免疫性膵炎(AIP)における胆管病変は膵病変に併発するのかまたはIgG4関連疾患の膵・胆管症状として出現し症例により異なるのか議論に余念がない本研究ではAIP発症動物モデルを用いて胆管病変につき検討した.【方法】「AIP・胆管炎群」を免疫異常を有する遺伝子alymphoplasia(aly)のホモ個体であるaly/aly雄性マウス(alyマウス)とし「対照群」を膵炎を生じないヘテロ個体であるaly/+雄性マウスとした.本学動物実験審査委員会により承認された方法で両群8週齢マウスを長期飼育し心腔採血により犠牲死させ膵・肝を摘出し経時的に比較した.1)HE染色:4%forma1-dehydeにて固定.2)CD4+・CD8+T細胞染色:2%paraformaldehydeにてtrimming後OCT compoundにて凍結包埋し抗マウスCD4・CD8抗体を用いて免染.【成績】「AIP・胆管炎群(alyマウス)」:膵小葉間には8週齢より単核炎症細胞浸潤がみられ加齢とともに細胞浸潤領域が拡大し24週齢では広範な腺房細胞脱落と導管細胞の変形がみられた.肝小葉間領域にも20週齢頃より炎症細胞浸潤が出現し48週齢では胆管周囲への細胞浸潤は著明となったが小葉内への細胞浸潤は軽度であり肝実質細胞の変形・脱落はみられなかった.「対照群」ではt膵・肝内胆管領域に炎症細胞浸潤を認めなかったまた「AIP・胆管炎群」で膵および肝小葉間領域に浸潤した単核炎症細胞はCD4+T細胞がCD8+T細胞に比べ優位であった.【結論】本研究より肝内胆管周辺への細胞浸潤の主役は膵と同様CD4+T細胞であると推定され.る.また肝でも炎症は経時的に進展するが膵と比較し実質細胞への浸潤・影響は軽度である.alyマウスを用いた本研究の成績は当施設のAIP 18例に合併する胆管病変(89%)の多くが膵内胆管のみでなく肝内胆管にもみられることと合致しAIPでは胆管病変は膵病変に遅れて出現・進展する可能性が推定される. |
索引用語 |
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