セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

001 GERD患者における自覚症状および内視鏡所見と組織学的所見(Ki67陽性率)の検討

演者 飯田文世(金沢大学医学部付属病院消化器内科)
共同演者 三林寛(金沢大学医学部付属病院消化器内科), 波佐谷兼慶(金沢大学医学部付属病院消化器内科), 三輪一博(金沢大学医学部付属病院消化器内科), 岡田俊英(金沢大学医学部付属病院消化器内科), 金子周一(金沢大学医学部付属病院消化器内科)
抄録 【目的】GERDなどで長期に食道炎に罹患した粘膜はパレット食道を経て食道腺癌の発生母地となりうるとされ軽症例であっても内服加療を行い組織学的レベルで食道炎を鎮静させるのが望ましいと考えられる日常の診療において問診や肉眼的内視鏡所見を参考にして組織学的レベルの食道炎を全て拾い上げるべく今回我々は1.患者の自覚症状を反映するFスケールのscore(以下Fscore)2.食道炎の肉眼的重症度を反映するLA分類と細胞増殖マーカであり組織学的炎症を反映すると考えられるKi67陽性率との相関を各々評価した【方法と対象】当科で上部消化管内視鏡を施行した症例のうち事前の問診でGERDが疑われた症例と肉眼的にGERD所見を認めた症例37例(男19名女18名平均年齢529歳)に対しECJもしくはmucosalbreak付近より生検を施行した.生検標本よりKi67陽性率を算出することで組織学的炎症やその活動性の評価を行いこの陽性率とFscore・LA分類各々の関連を検討した.有意差検定はKruskal Wanistestを用いた.【結果】LA分類とK:i-67陽性率については正の相関が示唆された(p = O.0526).FscoreとKi-67については有意差は認められなかった(p=0。5136).【結論】食道炎の組織学的活動性はGERDの肉眼所見と相関していると考えられた.特にgrade NやMのような軽微な内視鏡所見であってもKi-67の発現は正常粘膜に比し有意に充卒していることから明確なGERDの自覚症状がない患者であっても(Fscoreが低値であっても)内視鏡所見でGERDの存在が疑われれば食道腺癌発生予防の観点からも積極的に治療を行うべきと思われた。
索引用語