セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

008 食道内酸還流時の食道知覚と脳内反応に関する検討

演者 小林茂之(東北大学大学院消化器病態学分野)
共同演者 阿部靖彦(東北大学大学院消化器病態学分野), 大原秀一(東北大学大学院消化器病態学分野), 小池智幸(東北大学大学院消化器病態学分野), 浅沼清孝(東北大学大学院消化器病態学分野), 飯島克則(東北大学大学院消化器病態学分野), 今谷晃(東北大学大学院消化器病態学分野), 下瀬川徹(東北大学大学院消化器病態学分野)
抄録 【背景・目的1胃食道逆流症は自覚症状と酸逆流の程度が必ずしも相関しないことが知られているがその病態の一つとして食道知覚過敏の存在が指摘されている.内臓知覚も体性知覚と同様に知覚の「認知」には体性知覚野・島など「弁別」には前頭前野など「情動」には帯状回・島などが関与していると考えられているが不明な点が多いそこで食道内浦還流時の脳血流の変化をPositron Emission T(》mography(PET)を用いて測定し症状と脳内反応ついて検討した.【方法】対象は健常成人男性ボランティア18名平均年齢27歳(21-37歳).経鼻的に中部食道にカテーテルおよび有線式pH電極を留置しpH1pH7の水を10ml/分5分間還流しこれに同期させてH2150を静注し3D-PETにより脳血流を測定した. pH1pH7の還流は各2回ずつ行い還流後は蒸留水の還流と臓下にて食道内をwashoutし還流後の休止時偶は10分間とした.また還流により出現した胸やけ症状の程度を0-10cmのVAS scaleにて記録した【成績】pH1還流時の胸やけの出現率は89%平均スコアは4.4でp且7還流時は各々39%12でありpH1での胸やけ出現率・程度はpH7の場合と比較し有意に高度であった. pH1還流時は右下前頭回(前頭前野)右上側頭回(側頭葉)左前帯状回などpH7還流時は左中心前回・後回(体性運動野・知覚野)右後帯状回などが賦活されたpH1還流時とpH7還流時の比較では右小脳の賦活を認めたpH1還流時にVAS scaleが平均値以上を示した際の画像を解析した結果左中心前回・後回右島右前帯状回の賦活を認め平均値以下を示した際の画像解析では左中心前回右上側頭回などの賦活を認めた.【結論】酸性および中性水の食道内還流時により体性運動野・知覚野前頭前野帯状回などが賦活されることが示された.また島帯状回小脳の賦活は還流水の酸度や症状の強さと関連している可能性が示唆された.
索引用語