セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

011 実験的慢性逆流性食道炎モデルにおける十二指腸液の意義-酸型逆流と混合型逆流の差異-

演者 矢野文章(東京慈恵会医科大学外科学講座・消化器外科)
共同演者 小村伸朗(東京慈恵会医科大学外科学講座・消化器外科), 坪井一人(東京慈恵会医科大学外科学講座・消化器外科), 柏木秀幸(東京慈恵会医科大学外科学講座・消化器外科), 星野正人(東京慈恵会医科大学外科学講座・消化器外科), 矢永勝彦(東京慈恵会医科大学外科学講座・消化器外科)
抄録 【目的】逆流性食道炎の攻撃因子として酸と十二指腸液(膵液胆汁)がある.今回慢性逆流性食道炎モデルを用いて逆流性食道炎の病態における十二指腸液の意義について検討した。【方法】8週齢Wistar系雌性ラットを用いA群(酸逆流)とB群(混合逆流)の2群(各室n・=5)を作成した.24時間固形食絶食後さらに術前3時間絶飲食とした.約2cmの上腹部正中切開にて開腹前当・腺胃境界を2一{)絹糸にて結紮した.消化管内容物の排出遅延を目的として幽門輪直下(A群)もしくはVater乳頭肛門側(B群)で幅約2mmの18 Frネラトンカテーテル片を用いて十二指腸を被覆した.ラットは原則3週間後に犠牲死させたが全身状態の悪化を認めた際にはその時点で安楽死させた.両型の食道炎所見を比較検討した.【成績】両群ともに全判で逆流性食道炎を認めた.3週間生存率はA群が80%(4/5)B群が20%(1/5)であった.A群で途中死亡したラットは異物摂取による2次的食道破裂が原因であった。一方B群は重症逆流性食道炎による食道穿孔にて1頭が術後第18病日に死亡し残りの3頭はそれぞれ第61216病弱に安楽死を余儀なくされた.これらの動物の剖検時の腹部所見はネラトンカテーテルより口側の十二指腸胃が著明に拡張していた.胸部所見としては縦隔炎と胸水を認め死因もしくは全身状態悪化の原因は穿孔性逆流性食道炎による縦隔炎と考えられた.B群の食道炎では食道壁の壊死性変化がみられ組織学的にもA群より炎症細胞浸潤が顕著であった.【結論】十二指腸液が酸と混和することにより酸による食道炎が増悪する可能性がある.
索引用語