セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

016 当院における食道カンジダ症患者の臨床像と背景因子についての検討

演者 岸野真衣子(東京女子医科大学消化器内科)
共同演者 春山浩美(東京女子医科大学消化器内科), 水野謙治(東京女子医科大学消化器内科), 小西洋之(東京女子医科大学消化器内科), 中村真一(東京女子医科大学消化器内科), 白鳥敬子(東京女子医科大学消化器内科)
抄録 く背景〉食道カンジダ症は悪性腫瘍の化学療法中や糖尿病のコントロール不良例AIDS免疫能低下症例に多く認められる.近年の内視鏡検査の普及から特に基礎疾患がなく内服治療もうけていない健常症例にも無症状のカンジダ食道症所見を認めるケースが少なくない.またPPIによる食道カンジダ症発現の報告も散見される.今回当院の食道カンジダ症186症例の内視鏡所見背景を検索し本症発現の臨床意義を検討した.〈対象・方法>2006年6月から2007年5月までに上部消化管内視鏡検査で食道カンジダ症と診断した186症例を対象とし年齢性別併存疾患内服薬内視鏡所見症状などの諸因子について検討した.〈結果〉対象期聞に内視鏡検査を受けた症例は12083人でありそのうち食道カンジダ症と診断された症例は186人(1.5%)であった男性122人女性64人平均年齢は67.13歳であった.内視鏡所見ではKodsiグレード1は112例(602%)でありグレードH58例(31.2%)グレード皿3例(7%)グレードIV3例(16%)であった.併存疾患では悪性腫瘍64例(34.4%)糖尿病31例(16.7%)膠原病16例(8。6%)気管支疾患9例(4.8%)(うち吸入ステロイド剤を使用中の患者は6例)腎障害6例(3.2%)HIV陽性1例であった.内服薬ではPPI内服は42例(22.6%)H2RA内服は33例(17.7%)ステロイド・免疫抑制剤内服中21例(113%)PPI内服症例のうち他に危険因子を認めない症例は10例(5.4%)であった、〈考察・結語〉当院の検討では食道カンジダ症の危険因子として悪性腫瘍糖尿病免疫不全など一般的に示されている因子以外に胃酸分泌抑制剤の内服の関与が示唆された.これについてはカンジダの発育環境と食道内のPHの上昇が考えられる.PPIやH2RAは処方機会の多い薬剤であるが食道カンジダ症を誘発することが考えられることから症例によっては慎重を要するものと考える.
索引用語