セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

020 ホメオボックス遺伝子Sox2によるBarrett食道発生機序の解析

演者 阿曽沼祥(東北大学消化器病態学)
共同演者 今谷晃(東北大学消化器病態学), 阿部靖彦(東北大学消化器病態学), 小池智幸(東北大学消化器病態学), 浅野直喜(東北大学消化器病態学), 小西秀知(東北大学消化器病態学), 大原秀一(東北大学消化器病態学), 下瀬川徹(東北大学消化器病態学)
抄録 【目的】Barrett食道は胃酸および胆汁酸の逆流によって特殊腸上皮化生が誘導されることで生じる.この際ホメオボックス遺伝子Cdx2が発現することが知られている.我々はH.pylori感染胃粘膜における腸上皮化生進展時にSox2の発現が抑制されることが重要であると既に報告している.そこで今回Bar・rett食道発生におけるSox2の関与についてin vitroでの酸および胆汁酸によるSox2発現制御さらにヒトBarrett食道におけるSox2およびCdx2の発現について明らかにすることを目的とした【方法】ヒト食道扁平上皮培養細胞Het-IAを用いて酸(pH 4.5)または胆汁酸(DHCA 400μM)にて刺激しSox2およびCdx2の発現量変化についてwestern blotおよびRT-PCR法で検討した.次にHet-1Aに対してSox2siRNAを遺伝子導入しSox2発現抑制がCdx2およびMUC2の発現に及ぼす影響について検討した.さらにヒトBar-rett食道15症例からその唇側および肛側から内視鏡下生検検体を得てSox2およびCdx2について免疫組織化学を行い各々の陽性細胞数の割合を算出した.【結果】酸(pH4。5)または胆汁酸(DHCA 400pM)の単独刺激さらに混合刺激によりHet-1AにおけるSox2発現はmRNAおよびタンパクレベルで抑制されたこの際相反してcdx2の発現誘導を認めたsox2siRNAのsox2発現抑制効果によりHet-IAでCdx2およびMUC2の発現は誘導:された.ヒト正常食道扁平上皮および胃粘膜では恒常的にSox2の発現を認めたもののBarrett食道におけるSox2陽性上皮細胞数の割合は口側で6.98±4.67%t肛側で29D3±7.60%で低下し一方Cdx2陽性細胞の割合は口側で38.43±17.61%肛門1.53±1.75%で出現した.【結論】酸および胆汁酸の逆流によるSox2の発現抑制がBarrett食道の発生およびロ側への進展に関与することが示唆された.
索引用語