セッション情報 |
一般演題(口演)
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タイトル |
021 消化器症状の成り立ちに関する検討:食後愁訴症候群の症状を中心に
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演者 |
稲森正彦(横浜市立大学消化器内科) |
共同演者 |
阿部泰伸(横浜市立大学消化器内科), 中島淳(横浜市立大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】2006年のRomelll基準にて食後愁訴症候群(以下PDS)の概念が公表されたPDS症状は短絡的に胃排出遅延と結び付けられがちであるが実際は胃貯留能知覚過敏などと複雑に関係している.また治療における酸分泌抑制薬の関与は興味深い研究課題である.今回PDS患者の胃排出能の知見及び臨床経過また上部消化管内視鏡施行患者の症状と内視鏡所見をあわせPDS症状の成り立ちにつき考察したい.【方法】(1)PDS患者10名にBreathlD sys-temを用いた呼気試験による胃排出能測定を行いプロトンポンプ阻害薬(以下PPI)による治療反応性と胃排出能を対比した.また健常コントロール32名による成績とも比較検討した.(2)当院初診患者で胃薬の服用のない上部内視鏡施行予定患者連続100人に問診を行いPDS症状と内視鏡所見(歯状発赤胆汁逆流胃粘膜萎縮十二指腸発赤など)との対比を行った、【結果】(1>対照群と比べ患者群のT1/2は全体として遅延していた(p=0.0196)が全例が病的に遅延しているわけではなかった.半年後の投薬内容よりPPI有効群と無効群に分けると有効群は胃排出能の促進されている群に多かった(p=0.0105).(2)問診上の運動関連項目は胃ではなく十=二戸腸の発赤と強い関連を呈した(p<0.Ol).【考按】PPIは長期投与により胃排出能を遅延させることが報告されている今回胃排出促進群にPPI長期投与が効果的であったことより胃排出遅延効果が治療的に働いた可能性がある.またPDS症状は胃ではなく十二指腸の所見と関連したことより症状も十二指腸上部小腸などで起こっている可能性がある.胃から食道への不適切な逆流により胸やけ吐気が誘発される事は概ね認められているが胃から十二指腸への不適切な排出特に急激な負荷がPDS症状を引き起こす一因か?またPPI投与が運動調節を介して治療に関与しているのか?考察を加え報告したい. |
索引用語 |
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