セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

027 食道上皮内癌におけるHuman papillomavirus感染の検討(第二報)

演者 吉田武史(北海道大学消化器内科)
共同演者 清水勇一(北海道大学病院光学医療診療部), 廣田ジョージョ(北海道大学消化器内科), 西田麗(北海道大学消化器内科), 今井亜希(北海道大学消化器内科), 幡有(北海道大学消化器内科), 桂田武彦(北海道大学消化器内科), 鎌田豪(北海道大学消化器内科), 小野尚子(北海道大学病院光学医療診療部), 中川学(北海道大学病院光学医療診療部), 中川宗一(北海道大学消化器内科), 武田宏司(北海道大学消化器内科), 加藤元嗣(北海道大学病院光学医療診療部), 浅香正博(北海道大学消化器内科)
抄録 【目的】食道癌とHPV感染に関する既報をみると多くは進行癌が対象で上皮内癌や異形成を対象とした報告はほとんど無くまた飲酒・喫煙などの他の危険因子と合わせた検討がされていない.今回食道癌特に上皮内癌症例におけるHPV感染の有無を明らかにし臨床病理学的に検討を行った.【対象】2002年1月から2007年1月までの期間に当診療部にてEMR施行された食道扁平上皮癌症例のうち上皮内癌(m1)50例および当院外科にて外科手術された食道扁平上皮癌のうち進達度sm以深の42例.【方法】切除標本のHE染色にて癌部と診断されたparafiEin blockの連続切片からDNAを抽出しHPVのLl領域およびE6/E7領域それぞれのconsensus primerによるPCRにてHPVを検出した.【結果】食道癌でHPV陽性であった症例は上皮内癌(m1群)50例中10例(20.0%)に対しsm以深の癌(≧sm群)42例中11例(26.2%)であった.両群は臨床病理学的に有意差を認めなかったものの他の因子による検討では飲酒量の指標であるDrinking ln・dex<700の群でHPV陽性が61例中7例(11.5%)であったのに対してDrinking Index≧700の群でHPV陽性が37例中14例(37.8%)と有意に高かった(p=0.003).【考察】今回の検討では上皮内癌とsm以深の癌でHPVの感染率に有意な差がなかった事からHPVがcancer progressionに寄与している可能性が高いとは考えにくい.また多量飲酒者でのHPV陽性率が高い事からアルコールによる食道粘膜脆弱化などと関係がある可能性も考えられる.今後可能であれば正常食道症例でのHPV陽性率の検討やHPVの局在についても検討しHPVと癌化の関連性を検討したい.
索引用語