セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

028 食道癌肉腫の臨床病理学的検討と肉眼形態に関する病理組織学的考察

演者 千野修(東海大学消化器外科)
共同演者 島田英雄(東海大学消化器外科), 西隆之(東海大学消化器外科), 木勢佳史(東海大学消化器外科), 葉梨智子(東海大学消化器外科), 原正(東海大学消化器外科), 山本壮一郎(東海大学消化器外科), 生越喬二(東海大学消化器外科), 幕内博康(東海大学消化器外科)
抄録 【目的】食道のいわゆる癌肉腫は癌細胞由来で間葉系様紡錘形化細胞と上皮性の癌腫が移行像をもって混在する腫瘍である.隆起型を呈し比較的浅い深達度での発見が多い食道癌肉腫10例を経験したので臨床病理学的特徴を検討した.また病理組織学的および免疫組織学的手法を用いてその肉眼形態について検討した.【対象と方法】対象は2006年までに扱った食道癌肉腫10例.臨床病理学的検討とともにAzan染色Type IV collagenLamininを用い腫瘍間質成分について検討しtKi-67標識率EGFR過剰発現率から癌腫と肉腫様部分の増殖活性を比較した.またp53蛋白発現と上皮非上皮マーカーの染色性についても検討した.【結果】(1)上皮内伸展を伴うポリープ状隆起が9例と高頻度であり陥凹型は1例.(2)組織型は全てso一 calledcarcinosarcomasm7例mp2例ad1例.(3)最小腫瘍径は4mmで発生初期と考えられる病巣から癌腫と肉腫様部分の混在を認め両部分で上皮性マーカー陽性.(4)ポリープ状隆起の基部と辺縁に扁平上皮癌が分布し隆起部分は主に肉腫様部分で構成.陥凹型の1例では扁平上皮癌が優位.(5)移行部分でのMB-1標識率は癌腫部分28.5±11.9%肉腫様部分25.9±10.7%EGFR過剰発現率は癌腫90%肉腫様部分60%.(6)p53蛋白発現は癌腫肉腫様部分いずれも陽性.(7)腫瘍間質では肉腫様部分で豊富な膠原線維を認めたが癌腫部分では陰性.【結語】食道癌肉腫は高頻度にポリープ状隆起を呈した.隆起の基部と辺縁に扁平上皮癌が分布し隆起部分は主に肉腫様成分から構成されていた.癌腫と肉腫様部分の細胞増殖活性に差はなく肉腫様部分の紡錘形化細胞の間質に存在する豊富な膠原線維により腫瘍が崩れずに上方発育しポリープ状隆起を呈すると推測された.
索引用語