セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

032 表在型食道腺癌の臨床病理学的検討

演者 大高雅彦(山梨大学第1内科)
共同演者 榎本信幸(山梨大学第1内科), 河野浩二(山梨大学第1外科), 佐藤公(山梨大学第1内科), 松井啓(山梨大学第1内科), 高野伸一(山梨大学第1内科), 三浦美香(山梨大学第1内科), 大塚博之(山梨大学第1内科), 山口達也(山梨大学第1内科), 門倉信(山梨大学第1内科), 末木良太(山梨大学第1内科), 植竹智義(山梨大学第1内科)
抄録 【目的】Barrett食道癌の急激な増加が欧米で問題となっている.本邦でもSSBEへの関心から表在癌の特徴が報告されてきた.今回自験7例の表在型食道腺癌を臨床病理学的に検討しその特徴を明らかにする.【方法】2007年10月までの食道表在型腺癌の自検例7例.EMR/ESD 3例ESD後追加手術例1例手術例3例.平均年齢58.8歳全例男性【結果】発見契機は自覚症状なし5例燕口困難2例胸やけ1例.内視鏡的には(4例で検討)部分的SSBEで20時を中心とした位置に存在SSBE部に下部食道の柵状血管像が確認できた.逆流性食道炎は所見なし3例ロサンゼルス分類M1例.腺癌はいずれも1時方向にSCJに接して存在わずかに発赤した隆起性病変と認識(0-12例0-lla 1例0-Ha+IIc 1例).隆起と発赤が目立ち通常観察と色素内視鏡で進展診断は可能.オリンパス自製Q240Z(MB-162併用)を用いた観察では腫蕩部の異常血管を認識し進展診断が可能.しかし全例に存在した扁平上皮下進展(2-3mm)を拡大鏡で正診できなかった.酢酸散布による粘膜の白濁化では境界は認識できず拡大観察の併用により表面構造の観察を加えて進展範囲診断は容易となった.病理組織学的には長径平均21.3mm高分化型腺癌m21例m32例sml 2例sm22例.脈管侵襲はsm1の2例とsm2の1例.リンパ節転移はsm2でpNl(#1)の1例であった. EMR/ESDを行った4症例の癌発生部には非癌円柱上皮は存在しなかった.急患部直下に粘膜筋板の二重構造食道固有腺の存在を認めた.食道噴門腺は切除検体内に全例で確認できたが特殊円柱上皮は認められなかった.【結語】Barrett食道癌は特異な存在部があり発赤や粘膜の凹凸に注意して観察する事が必要.進展診断には拡大内視鏡観察が有用だが上皮下進展には無効であった.EMR/ESDの適応はm3までは可能と思われた.食道腺癌は食道噴門腺が癌巣近傍に存在していた.
索引用語