セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

038 肝組織内微量金属元素の定量と画像解析を用いたC型肝細胞癌発癌メカニズムの検討

演者 木下秘我(神戸大学肝胆膵外科)
共同演者 富永正寛(神戸大学肝胆膵外科), 岩崎武(神戸大学肝胆膵外科), 福本巧(神戸大学肝胆膵外科), 楠信也(神戸大学肝胆膵外科), 木戸正浩(神戸大学肝胆膵外科), 尾形哲(神戸大学肝胆膵外科), 高橋応典(神戸大学肝胆膵外科), 文宜貴(神戸大学肝胆膵外科), 小松昇平(神戸大学肝胆膵外科), 具英成(神戸大学肝胆膵外科)
抄録 (目的)近年C型肝炎による肝線維化や発癌過程において微量金属元素の関与が報告されている.しかしこれらの微量金属元素の組織内分布含有量についてはほとんど検討がなされていない.そこで肝組織内微量金属元素の含有量を定量するとともに放射光を用いた二次元の含有データーを光顕組織画像と対比することで発癌の過程にある肝組織の微量金属元素の組織内分布パターンを解析した.(方法)正常肝(n=3)C型肝硬変(n=9)およびC蒔銭細胞癌(n=9)の外科切除切片に含まれる微量金属元素(CuZn)の含有量を偏光ゼーマン原子吸光光度計を用い測定した.また同一組織のパラ・フィン包埋標本を5pmに薄切し関心領域型走査型蛍光X線顕微鏡(SPring8)にて微量:金属元素(FeCuZn)の二次元マッピングと定量を行った.さらにこの2次元データーをCCDによる光学顕微鏡像と対比し微量金属元素の組織内分布パターンを解析した.(結果)Cuの含有量は正常肝9.8pg/g肝硬変11.lpg/gHCC 35.6μg/gで有意差は認めなかったがZnは正常肝89.Opg/g肝硬変55.4μg/gHCC 27.7pg/gでHCCは肝硬変と比し有意に低かった. Feの組織内分布パターンは正常肝ではZone lに肝硬変では偽小葉中心部より辺縁部線維隔壁近傍に集積していた.また偽小葉ごとの分布パターンに差を認めた.一方Cuは正常肝ではZone 3に肝硬変では偽小葉辺縁部に集積しFeと違いを認めた.Znは正常肝肝硬変HCCともに分布は一様で差がなかった.(結論)Znは肝線維化の進行とともに低下し発癌への関与が推測された.また肝組織の微量金属元素の分布を世界で初めて画像化することに成功しCuFeは硬変過程で特徴的な分布パターンを示すことが推測された
索引用語