セッション情報 | 一般演題(口演) |
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タイトル | 042 小肝細胞癌患者の自然経過 |
演者 | 田中正俊(久留米大学医療センター消化器科) |
共同演者 | 由谷茂(久留米大学医療センター消化器科), 村島史朗(久留米大学医療センター消化器科), 工藤まいさ(久留米大学医療センター消化器科), 倉岡圭(久留米大学医療センター消化器科), 原田和徳(久留米大学医療センター消化器科), 黒松亮子(久留米大学医学部消化器内科), 佐田通夫(久留米大学医学部消化器内科) |
抄録 | 目的)肝細胞癌患者の予後は腫瘍の病期だけでなく肝予備能に強く左右されることは良く知られている.したがって自然経過でも予後が必ずしも不良ではないことが予測される小肝細胞癌に対して局所治療を開始する時期は日常臨床において判断に迷うこともある.そこで自然経過を観察した小肝細胞癌患者の予後と予後因子を検討することから治療の適応について考察した.対象と方法)種々の理由により定期的に自然経過を観察した肝癌患者(105例)のうち一般に局所治療の適応とされる観察開始時3cm3個以下の小肝癌47例である.診断は4例に生検診断他は臨床診断であるすべての腫瘍は経過で古典的肝癌に進展した症例で小肝癌における観察開始の基準はhyper-vascu-Iar例は診断時よりhypo-vascular例は病理診断時あるいは門脈欠損像がCT診断により確認されるか腫瘍径が20mmを超えた時点からとした.結果)1)全症例の1/3/5年生存率は98%/43%/18%でこれまで40例が死亡した.全例の予後解析では肝機能(Child C)がもっとも強い予後因子であったので以後の解析はChild Cを除外した35例で解析した.2)小結節肝癌(3cm3個以下35例)の1/3/5年生存率は100%/54%/29%で腫瘍濃染の有無で層別化した5年生存率は濃染あり0%濃染なし40%であった.結論)今回の症例には種々のバイアスが存在するが小肝癌の予後は診断時の腫瘍径よりも1)肝機能2)腫瘍特性に強く関連していることがわかった.すなわち肝機能の保たれた症例においては積極的に治療する意義は高いが肝機能不良例で腫瘍倍加時間の長い小肝癌に対する治療のメリットは少ないので治療の適応には慎重である方がよいと思われた. |
索引用語 |