セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

048 EBV感染胃癌細胞株におけるHeat Shock Protein 27(HSP27)の発現増加について

演者 深川友紀(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科)
共同演者 西川潤(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科), 佐竹真明(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科), 岡本健志(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科), 坂井田功(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科)
抄録 【目的】胃癌の約10%にEpstein-Barr virus(EBV)が感染していることが報告され発癌への関与が注目されてきている.EBV陽性胃癌ではEBVはすべての癌細胞に単クローン性に感染しており胃癌発生の初期から関与していると考えられている.今回胃癌発生におけるEBVの役割を明らかにするためEBVの有無による胃癌細胞株の蛋白発現の違いをプロテオーム解析の手法を用いて行った。【方法】EBV感染により細胞増殖・悪性度が充進ずる胃癌細胞株NU-GC-3細胞を用いEBV感染細胞及び非感染細胞よりそれぞれ蛋白質を抽出した.二次元電気泳動法によって蛋白質を分離し二次元解析ソフトウェアで両者を比較した.差異が検出されたspotについて質量分析法を用いて蛋白質を同定しWest-ern Blot法で確認した.【成績】EBV感染により最:も発現量が増加した蛋白質はHeat Shock Protein 27(HSP27)であった.二次元電気泳動法を用いたWestern Blot法でHSP27にはいくつかのisoformが存在しこれらのうち酸性よりに存在するisoformがEBV感染胃癌細胞株で増加していた.このisoformの発現はHSP27にリン酸化を誘導する熱刺激や亜ヒ酸刺激によって増加しており質量分析法によるアミノ酸ペプチドの検討からもリン酸化されたHSP27と考えられた.またHSP27リン酸化の上流シグナルとして知られているMAPKとPI3Kの阻害剤による検討ではPI3Kの阻害剤でこのisoformの発現は抑制された.またEBV感染胃癌細胞株でPI3Kの下流シグナルであるリン酸化Aktの発現が増加していた.【結論】EBV感染胃癌細胞株の細胞増殖・悪性度の充進にHSP27のリン酸化が関与している可能性が示唆された.またHSP27のリン酸化にPI3K:カスケードが関与している可能性が示唆された.
索引用語