抄録 |
【目的】進行胃癌の肉眼分類としてBorrmann分類が広く用いられておりその肉眼形態は腫瘍そのものの性格をよく反映している.いっぽうで表層型の肉眼型を示す進行胃癌も存在するがその臨床病理学的特徴は明らかではない.【方法1教室で1975年遅ら2000年の間に胃切除を施行した995例の進行胃癌患者とsm癌患者螂例を対象とした. Bor㎜ann1型および2型を限局型Borrmann3型および4型を浸潤型として検討を行った【成績】1.表層型は102例(10.3%)に認められた.Borrmann分類ではBorrmann1型が30例(2.8%)Borrmann2型が273例(253%))Borrmann3型が396例(36.6%)Borrmann4型が194例(179%)に認められた.2.臨床病理学的特徴として表層型は浸潤型と同様に限局型と比較して若年者に多く低分化型の占める割合が有意に高かった.さらに限局型および浸潤型と比較して腫瘍径が小さく油膜浸潤リンパ節転移リンパ管侵襲静脈侵襲肝転移非治癒手術施行の頻度が有意に低率であった.一方で腹膜転移の頻度は浸潤型と比較して有意に低率であった.3.5生率は表層型87.8%限局型60.7%浸潤型32.4%であり表層型の予後は限局型および浸潤型と比較して有意に良好であった.一方でsm癌(448例)の5生率は97.9%で表層型進行癌と比較して有意に予後は良好であった.4再発形式では表層型は腹膜再発(7.8%)が最も多く続いて血行性再発(5.9%)リンパ節再発(2%)であり浸潤型と同様の傾向であった5.多変量解析では年齢腫瘍径深達度リンパ節転移リンパ管侵襲静脈侵襲腹膜転移肝転移根治度とともに表層型であることが独立した予後因子であった.【結論】表層型進行胃癌は臨床病理学的特徴および予後の点から早期胃癌とBorrmann型進行胃癌(特に浸潤型)の中間的な性格を持つ進行胃癌であると考えられた.また早期癌と同様の肉眼形態を示すものの予後は不良であることから術前の深達度診断は慎重に行うことが必要と思われた. |