セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

061 高齢者超高齢者に対する胃ESDの妥当性

演者 布袋屋修(虎の門病院消化器科)
共同演者 飯塚敏郎(虎の門病院消化器科), 矢作直久(虎の門病院消化器科)
抄録 【背景】ESDは低侵襲と高い根治性を両立した優れた治療でありとりわけ高齢者にとっては消化管温存というQOLにもたらすメリットは多大なものがある.しかしESDの対象となる早期胃癌は症状がなく無治療でも数年以上の予後が予想されるため基礎疾患の多い高齢者に対するリスクを明らかにしその妥当性を検討する必要がある.【目的】高齢者・超高齢者に対する胃ESDの妥当性を検討する.【対象】2007年7月までに術前にガイドライン病変適応拡大病変と診断し胃ESDを行った511例(男性388例女性123例).【方法】70歳以上を高齢者(n=254)とし以下の項目を非高齢者(n=257)と比較検討した.さらに80歳以上を超高齢者(n=39)とし同様の検討を行った1術前評価(有病率):高血圧心電図異常呼吸機能異常肝機能異常腎機能異常虚血性心疾患糖尿病抗凝固薬内服 2術中所見;降圧剤使用SO2低下鎮静剤使用量治療立聞 3術後所見:発熱白血球上昇Hb低下CRP上昇ESDから退院までの期間 4治療成績;適応別症例数全麻下症例数病変サイズ局所一括切除率治癒切除率偶発症(穿孔・後出血)【結果1】70歳以上の高齢者では1高血圧糖尿病抗凝固薬内服の有病率が高かった.2術中SO2低下率が高く鎮静剤使用量は非高齢者で多かった.3術後所見および4治療成績に有意差を認めなかった.【結果2】80歳以上の超高齢者では1高血圧の有病率が高かった.2術中SO2低下率が高かった.3術後所見に有意差を認めなかった.4全麻下に施行した適応拡大病変が多く局所一括切除率は95%であったが(非高齢者95%)治癒切除率が72%(非高齢者84%)と低下した.穿孔率が若干高くなったが全例保存的治療で改善した.【結論】高齢者に対するESDの安全性は非高齢者と比べ術中・術後所見ともに遜色なく安全性の高い治療が可能と考えられた.超高齢者では治療困難例が多くなり治癒切除率が低下するものの約72%の症例で外科的切除を避けられるという点からは妥当と考えられた.
索引用語