セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

064 高齢者早期胃癌に対するアルゴンプラズマ凝固法の治療効果

演者 富田寿彦(兵庫医科大学内科学上部消化管科)
共同演者 新井永達(西宮協立脳神経外科病院), 三輪洋人(兵庫医科大学内科学上部消化管科)
抄録 【背景・目的】早期胃癌に対する内視鏡的治療はEMRやESDが第一選択で良好な成績が報告されているがしばしば偶発症を併発するため熟練を要する.アルゴンプラズマ凝固法(Argon plasma coagulation:以下APC)は胃腫瘍に対する内視鏡治療後の追加治療を目的に行われることが多いが単独治療に対する効果を検討した報告は少ない.APCは治療効果判定が不確実ではあるが手技が容易で偶発症がほとんどなく短時間で治療が終了できることなどを考慮すると多くの合併症を有する高齢者など社会的に従来の内視鏡治療困難例に対して有効な代替治療になりうる可能性がある.そこで高齢者の早期胃癌に対するアルゴンプラズマ凝固法の治療効果を長期予後も含めて検:討した.【方法】2003年以降当院関連施設で65歳以上の高齢者の内視鏡治療が可能な胃腫瘍30例(早期胃癌15胃腺腫15例)に対しAPC単独治療を行った.これら症例の経過および予後を逆行的に調査した.全症例の平均年齢は76±6(68-87)歳男性21例女性7例.ほとんどの症例で認知症t脳梗塞後遺症片麻痺他部位の腫瘍不整脈などの基礎疾患を有していた.平均手技時間は15分以内であった.全症例中で輸血を要した症例はなく穿孔(出血)などの偶発症も認めなかった.【結果】APC単独で胃腫瘍の治療を行った28例を49~1525日(中央値940日)経過観察した.28症例中5例(18%)において経過観察中に再発を認め累積再発率での検討では年率5.8%で再発した.再発までの平均期間は554日で5例中2例は1年以内に再発した.再発した5例では追加(最大3回)のAPC施行で経過観察範囲内では腫瘍の残存を認めていない.【結論】APC治療は根治性から見ればEMR・ESDに劣ると考えられるものの合併症を有する高齢者など社会的治療困難な早期胃癌・胃腺腫治療に対する有用な治療法であると考えられる.
索引用語