セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

072 人工ニューラルネットワークを用いた胃瘻増設患者の予後および合併症予測

演者 高山哲朗(慶応義塾大学消化器内科)
共同演者 高山幸三(星薬科大学薬剤学教室), 井上詠(慶応義塾大学消化器内科), 船越信介(北里研究所病院消化器科), 芹沢宏(北里研究所病院消化器科), 渡辺憲明(北里研究所病院消化器科), 桜庭篤(北里研究所病院消化器科), 樋口肇(北里研究所病院消化器科), 土本寛二(北里研究所病院消化器科), 日比紀文(慶応義塾大学消化器内科)
抄録 【目的】これまでに我々は北里研究所病院におけるPEG施行100例の成績を報告した.今回我々は人工ニューラルネットワーク(ar面cial neural networkANN)を用い患者背景栄養状態から予後および術後合併症の予測を行い良好な結果を得たので報告する【対象と方法11997年2月から2005年10月までに北里研究所病院で経験したPEG症例100例を対象に患者背景予後合併症を解析したこのうち平均生存日数まで追跡可能であった53例を用いANNを用いた予後および合併症予測を行った.ANN構造には入力中間および出力の三層からなる階層型を採用しその学習にはシグモイド関数を動作関数とする誤差逆伝播法を用いた学習済みANNの予測精度の評価にはleave-one-out cross-validation(LOOCV)法を適用した.【結果】基礎疾患別では脳血管障害61例悪性疾患13例認知症10例変性疾患10例その他6例であった.1)PEG後平均生存日数は533日であった2)死亡まで経過を追えた57例の死因は肺炎20例自然死20例原病の悪化9例であった3)平均生存日数まで追跡可能であった53例を用い患者背景栄養状態から生存日数(130日以下131~533日534日以上の3群)および合併症発症のLOOCV予測を行った.その結果生存日数肺炎原病の悪化による死亡については高度に予測可能でありその正答率は75%89%100%であった一方下痢自然死については予測不可能であった.【考察】胃痩は簡便で有用な手技だが合併症として死亡例もあるなどリスクを伴う.予後改善効果がないとする報告がある一方長期生存例も経験しPEGの適応決定は臨床上重要な課題である.本研究によりPEG症例の生存日数や致命的な合併症である肺炎の予測が可能であることが示された.ANNによる予測システムは個々の患者の治療方針決定に有用であると考えられる.
索引用語