セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

077 術後胆道造影による胆道内膵液逆流現象のスクリーニング

演者 和泉才伸(国立病院機構姫路医療センター)
共同演者 永瀬佑紀(国立病院機構姫路医療センター), 大田真路(国立病院機構姫路医療センター), 福岡惠子(国立病院機構姫路医療センター)
抄録 【目的】膵胆管合流異常症例に対して順行性に胆道造影を行えばその解剖学的特徴から膵管内に造影剤が逆流し膵管が描出されることは容易に想像される.一方で合流異常でない症例においても西中/術後胆道造影中に同様の現象がしばしば見られる.近年注目を集めている胆道内膵液逆流と合流異常の病態の相同性から上記の胆道造影時膵管描出現象と胆道内膵液逆流のあいだに何らかの関連があると推察し検討を行った.【方法】落下結石のチェックに使われる胆道ドレナージチューブ(C-tube)を胆嚢摘出時に留置された膵胆管合流異常を認めない35例を対象とした.朝食前・朝食後1.5時間・同3時間の3回術後にC-tubeから胆汁を採取しアミラーゼ値を測定した.そしてC-tubeを用いた胆道造影時の膵管描出現象の有無を症例ごとに検討した.【成績】胆汁中アミラーゼ値の経時的変化をもとに分類を行った.胆汁中アミラーゼが食事前後で変化なく常に血清アミラーゼの正常値上限以下を示し膵液逆流を生じていないと考えられた症例が20例あった.この20例はいずれも胆道造影時に膵管は描出されなかった.常時あるいは食後に高アミラーゼ胆汁を呈する胆道内膵液逆流症例は11例ありこれらはすべて胆道造影時に膵管が描出された.残りの4例は胆汁中アミラーゼ値に一定の傾向を示さず膵管描出例と非描出例のどちらも含まれた.【結論】分類困難な4例を除き膵管描出⑳有無が胆道内膵液逆流群と非逆流群に明瞭に対応しており胆道造影時の膵管描出現象は胆道内膵液逆流の存在を意味すると考えられた.通常は膵管内圧が胆管内圧より高いことからこの現象は実際の生体内においては膵液が胆道内へ逆流していることを示している.術後胆道造影と胆汁採取を同時に行えるC-tubeを用いて胆道内膵液逆流のスクリーニングを行い拾い上げた症例の胆汁中アミラーゼを測るというアルゴリズムは胆道内膵液逆流の病的意義解明に貢献するものと考える
索引用語