セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

088 Adiponectin欠損マウスにおける70%部分肝切除後の肝再生遅延および脂肪酸代謝の障害

演者 江崎久男(大阪大学消化器内科学)
共同演者 吉田雄一(大阪大学消化器内科学), 佐治雪子(大阪大学消化器内科学), 木曽真一(大阪大学消化器内科学), 鎌田佳宏(大阪大学消化器内科学), 松本仁(大阪大学消化器内科学), 福島寿一(大阪大学消化器内科学), 和田朗(大阪大学消化器内科学), 木原進士(大阪大学内分泌代謝内科学), 船橋徹(大阪大学内分泌代謝内科学), 下村伊一郎(大阪大学内分泌代謝内科学), 田村信司(大阪大学消化器内科学), 林紀夫(大阪大学消化器内科学)
抄録 【目的】脂肪肝では肝再生が障害されまた肝切除後の再生肝において脂肪の蓄積がみられることは知られているがその意義や機序については十分に解明されていない.Adiponectin(APN)は肝の脂肪酸代謝に関与しており脂肪肝患者において血中濃度が低下している事が知られている今回APNの肝再生への関与を明らかにするためAPN欠損マウスにおける70%部分肝切除(PHx)後の肝再生を検討した.【方法】野生型APN欠損マウスに70%PHxを施行.1)細胞増殖の評価として罫描重量/体重比肝細胞のBrdU取り込みPCNA蛋白発現2)再生早期におけるTNFαJIL-6の血清濃度前初期応答遺伝子の発現3)再生肝内のcyclinDlの蛋白発現cyc㎞A2cyclinBlの遺伝子発現4)再生肝内の中性脂肪含有量および脂肪酸酸化の律速酵素であるCPT-1とPPAR一αの遺伝子発現を検討した【成績】1)APN欠損マウスの肝重量/体重比およびBrdU labeling indexはPI{x4872hr後でt PCNA蛋白発現は48hr後で野生型に比し無意に低下していた. BrdU labeling indexは96hr後では逆にAPN欠損マウスで有意な高値を示した2)再生早期のTNFαIL-6の血清濃度および遺伝子発現前初期応答遺伝子の発現には両群問に有意差を認めなかった.3)再生肝内のcyclinDl蛋白発現は24hr後でcychnA2cyclinBlの遺伝子発現は4872hr後でAPN欠損マウスで有意に低下していた.4)肝内中性脂肪含有量は72hr後でAPN欠損マウスで有意に増加し肝内CPT-1の遺伝子発現は2472hr後でPPAR一αの遺伝子発現は7296hr後で野生型に比しAPN欠損マウスで有意に低下していた.【結論】APN欠損マウスではPHx後の肝細胞増殖の遅延肝内脂肪蓄積の増加がみられた.再生肝内CPT-1PPAR一αの遺伝子発現の低下がみられたことから脂肪酸代謝の障害がこれらに関与している可能性が示唆された.
索引用語