セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

091 肝星細胞活性化に関するS-allyl cysteineの抑制効果とその機序

演者 高台真太郎(大阪市立大学胆肝膵外科)
共同演者 竹村茂一(大阪市立大学胆肝膵外科), 南山幸子(岡山大学アンチエイジング食品科学), 田中宏(大阪市立大学胆肝膵外科), 大場一輝(大阪市立大学胆肝膵外科), 上西崇弘(大阪市立大学胆肝膵外科), 小川雅生(大阪市立大学胆肝膵外科), 裴正寛(大阪市立大学胆肝膵外科), 市川剛(大阪市立大学胆肝膵外科), 新川寛二(大阪市立大学胆肝膵外科), 久保正二(大阪市立大学胆肝膵外科)
抄録 【目的】肝疾患の予後を規定する因子として肝線維化の抑制は重要な課題である.肝線維化の分子機構としてKupffer細胞を中心とする非実質細胞から産生されたtransforming growth factor一β1(TGF一β1)が星細胞の線維産生に特に重要な役割を果たす我々はこれまでS-allylcysteine(SAC)という低分子化合物が種々の肝炎肝線維化モデルにおける炎症と肝線維化の抑制効果を報告してきた.今回ラット肝より単離した初代培養星細胞を用いSACの星細胞の活性化および機能抑制とTGF一βシグナルとの関係について検討した.【方法】8週令の雄性Wistar ratより比重遠心法にて肝星細胞を単離しプラスチック上で7日間培養することにより筋線維芽細胞へと形質転換させた培養後の星細胞に10nMのPDGF-BBとともにSACを1~0.OlmM添加し12時間もしくは48時間培養し.た星細胞の活性化機能の指標となるα一SMAcollagen一α1(1)TIMP-1MMPsを細胞中培養上清中にて測定しreal time RT-PCR法にてα一SMACOLIA1TGF一βTIMP-1の遺伝子発現を測定した【結果】線維化の指標となる上清中細胞中のcollagen一α1(1>活性化の指標である細胞中のα一SMAは対照群で有意に上昇しSACはその上昇を抑制した.またSACは上清中のMMP-9を上昇させTIMP-1を減少させた. RT-PCR解析ではα一SMACOLIA1TGF一βのmRNA発現をSACは用量依存性に抑制した.【結語】SACはPDGF刺激により誘導されるTGF弔発現を阻害し星細胞の活性化を抑制することにより線維産生を軽減した.またTGF一βによりMMPは抑制されTIMPの分泌は促進されると言われているがSACはMMPやTIMP分泌のバランスを変化させ線維素融解系を有意する可能性が示唆された.以上よりSACによる抗線維化作用の機序はTGF一βシグナル伝達経路の抑制に関係している可能性が示唆された.
索引用語