セッション情報 | 一般演題(口演) |
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タイトル | 092 肝再生および線維化におけるスフィンゴシン1-リン酸(sphingosine 1-phosphate: S1P)の意義について |
演者 | 渡邉尚子(東大病院消化器内科) |
共同演者 | 手島一陽(東大病院検査部), 富谷智明(東大病院消化器内科), 井上有希子(東大病院消化器内科), 西川尚子(東大病院消化器内科), 大友夏子(東大病院消化器内科), 田上靖(東大病院消化器内科), 小俣政男(東大病院消化器内科), 藤原研司(横浜労災病院), 矢冨裕(東大病院検査部), 池田均(東大病院検査部) |
抄録 | 【目的】スフィンゴシン1一リン酸(sphingosine 1-phosphate:SIP)は細胞の収縮接着運動さらに増殖分化アポトーシスなど多岐にわたる作用を及ぼすリン脂質メディエーターである.近年SIPの受容体であるSlPl-sが同定され肝臓にもこの受容体が発現していることが明らかとなった.我々はSIPが肝臓の病態生理に何らかの役割を果たしている可能性を検討するべく培養星細胞の増殖・収縮を促進ex vivoの系においては門脈圧を特進しこれらの作用にSIP2が関与することを明らかにした.さらに培養肝細胞の増殖はSIP2を介して抑制することを報告した.今回SIP2KOマウスを用いてSIPの肝再生および線維化における意義を検討した【方法】SIP2KOマウスにcarbon tetrachloride(CCI4)を投与して急性および慢性肝障害(4週投与)モデルを作成しそれぞれ再生・線維化を評価した.【成績】SIP2KOマウスにおいてCC14投与により血清ALTはWTマウスと同様に上昇した.急性肝障害モデル投与48時間後の肝細胞BrdU取込およびPCNA染色はSIP2KOマウスで有意に充目しており肝重量対体重比においても有意な増加が認められた.一方慢性肝障害モデルにおいてSIP2KOマウスで線維化は軽減しており肝臓における平滑筋α一アクチン発現細胞の減少が観察された.【結論】最近SIP2KOマウスにおいて急性肝障害後の創傷治癒機転としての肝myofibroblastの増殖低下が報告されている.今回の結果と併せSIPおよびSIP2が肝障害に対する反応としての再生・創傷治癒ひいては線維化に有意な役割を果たしていることが推定された.SIP受容体agonistおよびan-tagonistによる肝障害治療の可能性が考えられる. |
索引用語 |