セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

102 急性膵炎患者の末梢血単球におけるLPS/Toll-like receptor 4(TLR4)シグナル不応答機序の解析

演者 佐藤晃彦(東北大学消化器病態学)
共同演者 下瀬川徹(東北大学消化器病態学)
抄録 【背景】重症急性膵炎に続発する感染症はしばしば治療抵抗性であり病原性の弱い細菌や真菌が起炎菌となることも多いことから感染成立に患者側の何らかの免疫異常が関与している可能性が想定される.重症急性膵炎患者の末梢血単核球において刺激不応答が報告されているが機序の詳細は明らかになっていない.今回LPSをリガンドとするTLR4シグナル伝達経路に注目して急性膵炎患者の単核球に刺激不応答が惹起される分子機序について解析することを目的とした.【方法】2005年9月から2007年8月までに当院で加療した急性膵炎患者42例(重症21例軽・中等症 21例)と対照16例について入院時に採血を行い末梢血単球におけるTLR4発現をFACSによりTLR4シグナル経路の重要なアダプター蛋白であるmyeloid d憾erentiation factor 88(MyD88)発現をWestern blotによりそれぞれ検討した.併せて分離した単核球をLPS 100ng/mL刺激下に短期培養し刺激応答TNF一α産生をELISAにてNF-kB活性化をWestern b1Qtにてそれぞれ検討した.【結果】二丁の患者背景(年齢性別成因)に有意差は認めなかった重症膵炎患者の単核球におけるLPS応答TNF一α産生は有意に低下しており(24時間刺激/非刺激=重症例1.6軽・中等症例3.2P<0.05)IkBαdegradationも減弱していた(30分刺激/非刺激=重症例0.9軽・中等症例0.3P<0.05).一方TLR4発現とMyD88発現に関しては重症例軽・中等症例ともに対照群との間に有意差を認めなかった.【結論】重症急性膵炎患者の末梢血単核球では発症早期よりLPS刺激応答が障害されている.この刺激不応答はTLR4発現より下流のシグナルMyD88発現レベルには因らない機序により発生することが示唆された.
索引用語