セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

108 当科における重症急性膵炎に対する経管栄養療法の有用性

演者 高山敬子(東京女子医科大学消化器内科)
共同演者 清水京子(東京女子医科大学消化器内科), 大橋美穂(東京女子医科大学消化器内科), 鈴木大輔(東京女子医科大学消化器内科), 小山祐康(東京女子医科大学消化器内科), 白鳥敬子(東京女子医科大学消化器内科)
抄録 背景と目的:重症急性膵炎の主な死因である感染性膵壊死・敗血症など感染症の機序としてbacterial trabsiocation(BT)の関与が考えられている.長期の中心静脈栄養(TPN)は腸管粘膜が萎縮しBTを助長するとされ早期からの経腸栄養(EN)や選択的消化管除菌(SDD)が臓器不全や感染症を抑止するとの報告が散見される.これらは原則経鼻空腸チューブ(NJT)で空腸から行うが実際は安静度制限のため挿入困難なことが多い.最近経鼻胃管チューブ(NGT)とNJTでENの成績に差がないとの報告もあり当科でもNJT挿入困難例に対しNGTからEN・SDDを行っている今回重症急性膵炎治療におけるNGTも含めたENの有用性について検討した対象と方法:対象は2005年9月~2007年8月に当科で加療した重症急性膵炎36例.男女比22:14平均年齢59歳重症度スコア2~14点(平均4.7±2.4点)救命率97.2%.NJTは上部空腸に透視下で経腸チューブをNGTは胃管チューブを経鼻的に挿入.ENは麻痺性イレウスの改善後山レンタールを開始. TPN群とNGT群・NJT群で救命率・経口摂取開始時期・敗血症・腹腔内膿瘍・MRSA感染症などの合併率につき検討した.結果:内訳はTPN単独13例EN単独8例(NGT群6例:NJT群2例)TPN+EN併用9例残り6例は早期に改善したためTPN/ENとも行わなかった. TPN・EN群間で性別・年齢・重症度スコアに有意差なし.救命率はTPN単独群・NGT群・NJT卜いずれも100%.以下経口摂取開始時期は22±6.5日・21±3.4日・30±5.7日目敗血症合併率は30.8%・33.3%・0%腹腔内膿瘍合併率は7.7%・0%・0%MRSA感染症合併率は30.8%・16.7%・50.0%であった考察と結語:今回の検討ではNJT単独群の症例数が少なく有意差を比較することは出来なかった.しかしながらNGT群はTPN群に比べ感染症合併の抑止に関して優れた傾向を認め救命率・経口摂取開始時期に関しても遜色のない結果であった今後症例を増やしてTPN群と有用性を比較できる可能性があると考えられた.
索引用語