セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

113 N-6多価不飽和脂肪酸(PUFA)の膵癌細胞増殖能浸潤能への影響

演者 舟橋整(名古屋市立大学臨床病態外科)
共同演者 沢井博純(名古屋市立大学臨床病態外科), 越智靖夫(名古屋市立大学臨床病態外科), 安田顕(名古屋市立大学臨床病態外科), 高山悟(名古屋市立大学臨床病態外科), 坂本雅樹(名古屋市立大学臨床病態外科), 高橋広樹(名古屋市立大学臨床病態外科), 若杉健弘(名古屋市立大学臨床病態外科), 松尾洋一(名古屋市立大学臨床病態外科), 佐藤幹則(名古屋市立大学臨床病態外科), 赤毛義実(名古屋市立大学臨床病態外科), 竹山廣光(名古屋市立大学臨床病態外科), 真辺忠夫(名古屋市立大学臨床病態外科)
抄録 【目的1アラキドン酸(AA)をはじめとするN-6多価不飽和脂肪酸(PUFA)がさまざまな癌に対し腫瘍活性効果を有していることが報告されている.今回我々はNL6PUFAの腫瘍に対する効果はCyclooxygenase(COX)が産生する抗炎症性プロスタグランディンに影響されていると仮定し基礎的研究を行った.【方法・成績】4種のヒト膵癌細胞株BxPC-3HPAF-H(COX-1COX-2陽性)とMIA PaCa-2PANC-1(COX-1陽性COX-2陰性)をAAで刺激し増殖能をcell・countMTT assayにてまた浸潤能をMatrigel DQuble Chamber Assayにて検討したところCOX-2陽性細胞にて有意に増強した.COX-2阻害薬にて前処置を施すとCOX-2陽性細胞におけるAAの効果は抑制されたがCOX-2陰性細胞では効果がなかった.さらにこの阻害剤による抑制効果はPGE2を加えることによって消失した.一方COX-1阻害剤は各々の細胞株に抑制効果を持たなかった.膵癌細胞におけるプロスタグランディンレセプターCOXの存在をWest-ern Blotで確認しレセプター拮抗剤を使用して増殖能を検討したところレセプター陽性細胞に対するAAの効果はEP2EP4レセプター阻害薬にて抑制されたがEP1EP3阻害薬は効果を持たなかった.レセプター以降の細胞内シグナルの検索のためにELISAによってAA刺激後の細胞内cAMPの経時的変化を調べたところCOX-2陽性細胞ではAA刺激後60分で細胞内cAMP濃度は最高となったがCOX-2陰性細胞では変化を認めなかった.【結論】N-6PUFA(AA)はCOX-2によってPGE2と変換され膵癌細胞のEP2またはEP4レセプターと結合し細胞内cAMPを活性化することによって増殖能浸潤能を増強することが示唆された.
索引用語