セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

114 膵癌の浸潤におけるperiostinのbiphasic effectの検討

演者 菅野敦(東北大学消化器内科)
共同演者 佐藤賢一(東北大学消化器内科), 正宗淳(東北大学消化器内科), 下瀬川徹(東北大学消化器内科)
抄録 (背景目的)我々は第48回日本消化器病学会大会においてperiostin(PSTN)が主に膵癌組織における周囲間質と膵星細胞(PSC)から分泌され瘤問質相互作用により膵癌細胞のEpithelial-Mesenchymal Transition(EMT)を抑制することを発表した.その後膵癌とPSTNに関連する論文が2本報告されたがいずれもPSTNは膵癌を進展させる内容で我々の結果と相反していた.その理由としてPSTNの膵癌細胞の進展に対する作用が二相性である可能性があげられるErkanらがPSTNの濃度が低い場合(100ng/m1)と高い場合(1μg/m1)で膵癌細胞のAktリン酸化に対する効果が異なっていることを示したからである.そこでPSTNの濃度差よる膵癌進展に対する作用の違いを明らかにすることを目的とした(方法)(1)各種細胞上清中におけるPSTNの濃度をELISAにて測定する.(2)recombinant human periostin(rPSTN)を用いて濃度差による膵癌細胞株Pancl移動能の差異をscratch assayにより調べる.(3)PSTNの濃度差による下流シグナルの違いを調べるためWestern blotにてPSTNの濃度の違いによるAktのリン酸化の差を調べる.(結果)(1)PSCPanclのPSTN安定発現株(PPI)PSTN発現293Tの細胞上清のPSTN濃度をEHSAを用いて調べたところ150ng/m1前後の濃度であった.(2)rPSTNを用いて細胞上清のPSTN濃度を100ng/mlと1μg/mlの2通りに調整しscratch assayを行ったところ100n9/m 1では細胞移動能が抑制さ江lp9/mlではむしろ移動能が尤進していた.(3)膵癌細胞株Panc1の細胞上清のPSTN濃度を100ng/mlと1μガmlの2通りに調整しAktのリン酸化をWestern blotにて確認したところlpg/mlでは10分目30分でAktのリン酸化は促進していたが100ng/m1の濃度下ではAktのリン酸化は抑制された.(結論)これらの結果から膵癌細胞において低濃度のPSTNはAktのリン酸化を抑制しなおかつ膵癌細胞株の移動能を抑制する一方高濃度のPSTNはAktのリン酸化を促進させまた移動能を充進させるという二相性効果を有することが示された
索引用語