抄録 |
【目的】われわれはDDW-Japan2006のシンポジウムにて膵腫瘤の拡散強調画像(Diffusion weighted image;以下DWI)の有用性についてはじめて報告した.今回はDWIと18F-FDG PETとの比較さらにはDWIにて腫瘍と紛らわしい偽所見となり得る腸液の対処法としてMRI用経口消化管造影剤(塩化マンガン四水和物)の有用性を検討した【対象】1)術前にDWIが施行された膵腫瘤32例の内18F-FDGPETとDWIが同時期に施行された膵管癌10例グルカゴノーマ2例を対象とした.2)胆嚢膵臓疾患の検査前に塩化マンガン四水和物を内服した69例を対象とした.【方法】1)PET/CT:FDG約185MBqを静脈投与し1時間後に撮影し視覚的評価を行い半定量的評価として病変のSUV値を求めた. MRI:DWIを撮影し視覚的評価を行い病変のみかけの拡散係数(ADC(×10-3mm2/sec)値)を求めた.2)検査前に塩化マンガン沢水和物36mgを内服した後にDWIを撮影し胃から空腸近部までの陰性造影効果を検討した.【結果】1)PETにて膵管癌全例が異常集積を示しSUV値は3.70-6.0と高値を示した.一方グルカゴノーマは異常集積を示さなかった.DWIにて膵管癌グルカゴノーマ全例が高信号を呈しグルカゴノーマのADC値(0.83)は膵管癌(1.04-1.66)より低値を示した.2)塩化マンガン四水和物36mgを内服することにより全例全領域で消化管の陰性造影効果を認めた.【結語】1)膵管癌に対する拡散強調画像の描出能は良好でPETと同等であった.2)PETで異常集積を示さない膵島腫瘍に対しても拡散強調画像は良好に描出し得る.3)塩化マンガン四水和物は内服して胃液腸液で希釈されても良好な陰性造影効果を示し偽所見の出現を防ぎ膵管癌の検出能を向上させると考えられる |